アニメ映画『バケモノの子』(2015年)を観ました。
監督は『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』などの作品で知られる細田守。
バップ
発売日 : 2016-02-24
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バケモノに育てられることになる主人公の人間、九太(きゅうた)の声を宮崎あおい(幼少期)、染谷将太(青年期)
九太と暮らすことになるバケモノ、熊徹(くまてつ)の声を役所広司。
他に現在(2016年4月29日)公開中の映画『ちはやふる 』(上の句、下の句の二部構成)で主演を演じる広瀬すずがヒロイン役。
個性的な脇役として大泉洋、リリー・フランキー、黒木華が声優として参加しています。
声優陣豪華〜
さすがにヒット作連発の細田作品ということでスポンサーサイトも気合いが入っていますね。
それがちょっと作品の質を落としてしまっているのが残念ですが、そこは大人の事情があるんでしょう。
個人的にはプロの声優さんをもっと使って欲しかったなぁ。
脚本的にも『おおかみこども』の時のように「世界への違和感」「自分の居場所」といった内面への葛藤が多く描写されていて、なかなか素直な感情が表に出てこないのでちょっと物足りない。
九太は感情表現難しいとしても、それに代わる狂言回し的キャラが必要だったのでは?
「デジモン」の時のような勇気と友情はどうしたの?
戦うのが男の子ばっかりで女の子を「応援するヒロイン」にしちゃったのも嫌。
もうね、ヒロインの女の子の転び方が本当に”女の子”なんですよ。しかも何度も転ぶ。必然性なんてないのに!
バケモノたちの住む異世界と人間たちの住む世界という魅力的な設定があまり活かせていなくて、ちょっとワクワク感も少なめ。
戦い方も『サマーウォーズ』の「花札」みたいな意外性が欲しかった。
いろいろ要望を書いていますが、卵かけご飯は美味しそうだったし、九太と熊徹の関係にはジーンときたし、子供のベッドのかたわらで寝ちゃう両親には感動しました。
なんやかんやで細田作品好きなんですよね。
下手に売れちゃって制約が多いのはわかりますが、もっと時間をかけてもっと自由に作って欲しい。
どうして日本はクリエイターはいるのにそれを応援するスポンサーが育たないんでしょうか?
輸出品の包み紙に日本では消耗品だった浮世絵を使って、逆に包み紙の浮世絵の方が海外では高く評価されたみたいに、昔から日本人って芸術に対する評価が低いんですよね。未だに人と違ったことをする者はのけものにする文化があるのかな? 出る杭は打たれる?
ある意味芸術家なんて「バケモノの子」ですからね。
人と違って当たり前。
人と違うから人間は面白い。
他人に合わせようと自分の心をけずってけずってやせ細ってしまうと心に闇が生じるのかも。
私がこの作品で一番好きなのはイノシシの次郎丸です!
だって一番平和そうだから(笑)