くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

遙かなるラグーサへの道5 走れ太陽の大地を

2006-12-18 17:51:00 | 連載もの 遙かなるラグーサへの道

Plan600
どうやってシチリアを廻ろうか...

 パレルモの三日目、朝であります。
 下水のかほりのする部屋とも、これでお別れ。9時にはチェックアウトを済ませて、AVISのレンタカーを受け取りに行く。
 ところで、イタリア人はオートマチック車をまったくと言っていいほど使わないんですね。大きなクラスのベンツでも、マニュアルモデルしか走っていない。
 レンタカーも、オートマはあくまでもオプションで追加料金。
 なぜオートマを使わないのか。いや、嫌うのか。

Matiz600
借りた車も当然(?)手動変速
何故なのかは本文を参照

「オートマを信用してないんだと思う」と細君は言う。
 その説明が、僕にも次第に納得出来るようになった。彼ら(彼女ら)はブラックボックスのような機械が嫌いなのですね。
 自分のタイミングで変速したいのに、勝手に変速されるのが嫌いなのですね。
 これはイタリア人に直接訊いてないのだけど、きっと当たっていると思うなあ。

 パレルモの市街を抜けて、高速(SS)121号線を南下する。
 本日は約130kmの距離を走行して、遺跡の街アグリジェントに投宿予定なのであります。
 右側通行ということで、いささか緊張感を持ってスタート。しかし、現地のドライバーはすさまじい運転をしております。センターラインなんかおかまいなし。自由奔放にご走行なさってます。
 おかげで、こっちも好きなように走らせていただきました。

Agrigento2400
時速120kmで移動する洗濯物と細君

 車窓に広がるのは、一本の木も生えていない乾いた山並み。
 牧草地には、顔の黒い羊が群れている。
 彼方の岩山の山頂には、城壁の跡らしき建築物。
「こうやって自分で運転してると、いかにも旅をしてるなーという感じ」
「まったくですな」
「もう少し行くと、右側がコルレオーネ村ですよ」
「ゴッドファーザーですなあ」
「その先のパラッツォ・アドリアーノ村が、ニュー・シネマ・パラダイスの舞台になったところ」
「シチリアはロケ地の宝庫ですなあ」
 荒涼とした風景ばかりかと思いきや、ところどころで緑豊かな土地が現れる。そんなところには必ず橋の標識があったから、水の流れるところはやはり肥沃な土地なのだ。

 つづく
 この連載の初回へ