くらぶアミーゴblog

エッセイを綴るぞっ!

遙かなるラグーサへの道7 陶器の街

2006-12-26 21:13:01 | 連載もの 遙かなるラグーサへの道

Caltagirone2400
ついにラグーサという標識が出てきたゾ!
(撮影まゆみーな)

 明けて、翌日の朝。シチリアも4日目であります。
 遺跡の街アグリジェントを出発。車はシチリアの南岸を、東に進んでいく。
 道沿いに咲いているのは、ハイビスカスやブーゲンビリア。
 窓からは暖かい風が吹き込み、後部座席の洗濯物を乾かしていく。
 右側に広がる海の向こうはアフリカ大陸なのだ。こりゃあ暖かい(日中は暑い)はずだ。
 本日は約140kmを走って、まずはカルタジローネという街を観光。そこからさらに約60kmを走って、いよいよ待望のラグーサに投宿予定であります。

 ところで...。
 実は、一つだけ気掛かりなことがありましてな。
 それは、ラグーサで今夜の宿を取っていないことなのですな。
「行けば何とかなるよ」と細君はのたまうが...。

Caltagirone3600
わわわ、ホントにここ通るの?
イタリアでは小さい車じゃないとイケン

Caltagirone1400
この階段、とても長~いのですぞ
立ち上がりにタイルが貼ってあるのですぞ
(撮影まゆみーな)

 海岸線から内陸に入り、車はぐんぐん標高をかせいでいく。カルタジローネは小さな山の上にありました。
 一番高いところにドゥオーモ(一番大きい教会)があり、そこから下は急峻な階段と、狭く曲がりくねった急坂。
 空を見上げると、自分が非常に狭い山頂に立っているような気がする。登山で頂上に立っているのと良く似た感覚なんであります。
 個人的には、これを「てっぺん感覚」とよんでおります。まさに非日常、異空間であります。

Caltagirone4400
ここがてっぺんだっ

 それでいて、街には暖かみがあるのですね。
 個人の駐車場に車を突っ込んでおいたら(それもまずいのだが)、持ち主がやってきて
「あまり長くならないんなら、もっとどーんと駐めていいよ」
みたいなことをおっしゃるのであります。
 陶器屋を冷やかしていると、店のあるじは
「日本から来たのか? トーキョーか? トーキョーは憧れだ、俺、いつか行きたい。夢だ」
 なんておっしゃるのであります。そういうこと言われると、にわかに愛国心がくすぐられるんであります。カルタジローネはいい街だなあ。


 つづく
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