谷間の小さな段々畑

山畑の四季を写真とともに発信します

初冬に思う 悪筆の理由

2017-11-24 19:37:58 | 日々のこと

陽光が薄くなって、 窓辺のベゴニアが血の気が失せたように白くなり、カランコエの厚い葉の上に落ちた。

今年初めての木枯がふいて、しがみついていた残り葉は天高く舞い上がる。

風が弱くなる時、巻き上げられた枯葉がくるくる回りながらゆっくり降りてくる。

この乾いた軽い葉を、左手で捕まえると字が上手に書けるようになるという。

そのころ低学年児童に習字の授業があり、硯で磨った墨汁で、一、二、三を習っていた。

手本の「一」の字がどうしてもうまく書けなかったから、校庭で真剣に枯れ葉を追ったものだ。

枯れ葉は、掌の温もりを、生き物のように感知して、いつもするりと逃げた。

だから私は、傘寿の今でも悪筆である。

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