畑をみると、「キジ」がウロついていた。
周辺を根城とする「キジ」は、いつも畑から畑へと歩き回る。よほど危険が差し迫らないと飛んだりはしない。飛ぶ時は、「ギャッ・ギャッ」という甲高い鳴き声と「バタッバタッ」という羽音が遠くまで響き渡る。その様は「野鳥」よりも「鶏」に近い。
いつも隣の畑から散策してくる「キジ」、野菜などが荒らされないようにと隣地のみかん耕作者に事情を説明し、畑の周囲には高さ1mのネットを張り巡らしている。
畑の「キジ」を見つけた時、「どこから入ってきたのか」という疑念が湧いてきた。
カメラを持ち出し撮ろうとすると、人の気配に気づいたのか小走りでネット際を右往左往し始めた。どうやってネットを越えるのかを見届けたくて、飛び立たないよう追い詰めずに離れてじっと観察することにした。
ネットがあるので、逃げたいのに逃げられない「キジ」。何度もネット際を小走りに行ったり来たりを繰り返していた。そのうち、逃げ道をみつけたのか、ネットを下から嘴で持ち上げ逃げ去った。そこは、ネットの下部を止めていない箇所だった。その弱点を奴は見破った。
我が家の畑に入ってくる時も、ネットの隙間をみつけ、かいくぐってきたに違いないと思った。疑念が消えた。辛抱強く観察した甲斐があった。ネットの下部の点検が必要だと分かった。
<人の気配に気づき、小走りで右往左往するキジのメス>