そのときは,初めて見て驚き,大したカメムシがいるものだと感心して撮影しました。あとで正体がわかって,「ほほーっ!」とまた感心。
さて,このカメムシとはヨコヅナサシガメ。大きさは横綱級,口吻を獲物に突き刺して体液を吸うといいますから,たいへん攻撃的な性質の持ち主だといえるでしょう。
このカメムシを見かけたのは我が家の庭で,たまたまダンゴムシに口吻を刺していました。ダンゴムシの鎧の隙間からぐっと刺し込むという感じです。体長2cm! ダンゴムシは,例によって危険から身を守るために団子状に丸まっていました。「大きなからだ! それにしても変だ。口が抜けなくなって困っているのかな」と思ったのですが,違っていました。
こんな場面を見たことがなかったので,とにかくその行動を妨げないように注意しながら写真に収めました。結果,これが貴重な記録写真になったのです。
からだは真っ黒。腹部の縁は白。先は少し赤みがかっています。突き出した頭と目の先に,釣竿のように伸びた口吻があります。この口吻がダンゴムシに刺さっていました。それはまるで釣りでもしているかのよう。
あくまで放そうとしません。脚で抱え込むようなしぐさも見られました。
さながら吸血コウモリそっくり。こんなふうにして体液を吸うカメムシがいるとは!
もともとこのカメムシは東南アジアと中心に棲息する外来種で,昭和初期に我が国に入って分布を拡げているのだとか。さらに,口吻で刺されると,激痛を伴うために要注意らしいのです。
それにしても,こんなに威風堂々としたカメムシがいるなんて,驚きです。