自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

わくわく,クズ粉採り

2016-01-11 | 随想

本日付け記事の第2話です。


このほど探検活動でクズ粉採りをしました。作業場は近くにある交流施設の調理室。集まったのは子ども8人,おとな2人,計10人。わたしも入れて,みんなはわくわく。それに新年早々うれしいことに,新しいメンバーが2人加わりました。現メンバーの楽しそうな誘い話に,すっかり引き込まれたそうです。「そんなに楽しいのなら,絶対に体験したいと思いました」なんて,いっていましたから。

はじめに,安全上の注意と使用上の心得について話してから,作業開始。

デンプン採りをしたことがあるメンバーはなし。それで,準備していたジャガイモを使って,皮むき,おろし金を使ってすりおろし,ガーゼで包んで揉み洗い,新聞紙の上で乾燥,そんな実演をしておきました。これが基本形になって,以後の作業が段取りよく進んでいきました。

クズの根はさすがに硬いので,それを切るのはお母さんお二人にお任せしました。切る長さは20cm程度。


それを子どもたちが洗って,おろし金でおろしていきました。子どもたちは,隊長Kさんの指示で4班に分かれました。こういうときに班内がさっさとバランスよく構成され,事がうまく進むというのは,子らの活動意欲,群れる力なんかが大いに関係しています。


すりおろし作業に,子らはたいそう手こずりました。根の繊維のすごいこと! なかなか手馴れないという感じなのです。クズの野性味が如何なく現れ出て,「なにくそー!」と踏ん張っているかのようです。


それでも1時間も経つと,すりおろした繊維がソフトボール程度の団子大になりました。ほんとうはもっとたくさんできると予想していたのですが,おろし金の具合にもよったため,これだけ。


次にそれを3等分してガーゼで包み,水に漬けて揉み洗いをしました。揉んで,絞って,揉んで,絞って,……。この繰り返しです。


こうしてできた濃い茶色の絞り液を4つの班から集めました。茶色液にはアクやデンプン以外の不純物が入っています。それをしばらくじっとしておくと,デンプンが底に沈殿していきます。


待っている間に,はじめに作ったジャガイモデンプンを熱湯で溶かして試食。味付けはまったくなし。それでも,「結構いけるね」「ちょっとジャガイモみたいな味がするかな」「おしまいは,確かにジャガイモの味だね」という会話で盛り上がりました。


クズデンプンの入った容器を傾けると,上澄み液の下にわずかながらデンプンが! みんな納得。もちろん,白い!

しかしながら,いずれ試食するにせよ,量が少なすぎる! というわけで,残りの根をおとなが責任を持って処理することにしました。方法は電気器具に頼るということに。「ミルを使ってはどうか」という提案があったからです。おろし金ではたいへんだということが,みんなに理解できました。そんなにして採り出す程なので,市販されているクズ粉ははやり価格が高い!  もちろん価値も!

調理室使用の心得どおり,子どもたちは,わたしがなにもいわないのに「箒はどこかな」「きれいにしなくちゃね」といいながら汗を流していました。「調理室に感謝!」の気持ちですね,きっと。

締めくくりは,ちょこっと反省と次回の相談。反省は五七五調でまとめます。「クズの根が りっぱに変身 新発見」「クズの根は かたくてがんじょう すれないな」「すりおろし 大根とちがって かたかった」……。「だれが,いつ,こんなデンプンを見つけたのかな」なんて質問も飛び出しました。Tさんいわく,「自然の草はさすがに大したものやなあ」。わたしはわたしで,この日の活動はお母さんお二人の力に感謝!

わたしたちが行っている探検活動の内容は,学校では学べない,学校では教えない『知』『方法』で構成されています。それらは生きる上で必ずしも必須の事柄ではありませんが,生きる力を底支えする知恵になるでしょう。 

 


クビキリギス,超接写

2016-01-11 | 昆虫

クビキリギスは成虫で越冬します。といっても,低温下ではからだが休眠状態です。日が当たって暖かくなると,冬でも動くことがあります。いのちと温度の関係はおもしろいものです。

そんなクビキリギスの生のかたちを撮る機会は,そうあるものではありません。今回貴重な機会を得たわけで,このかたちを接写によって記録しておこうと思いました。


ぐっと近寄って頭部を見ました。ずいぶんツヤを感じさせる体表です。外骨格によってからだを保護しているのです。先端のくびれが際立った特徴です。 


角のようにとがった先,くびれに,どんな意味があるのか聞いてみたくなります。複眼を見ると,赤紫の帯があります。これもなんらかの働きがあるのでしょう。 


真横から見ました。色の妙,かたちのふしぎ,外骨格のスゴサ,そんなことを感じさせてくれる一コマです。 


横向きに寝転んでもらいました。口の辺りが見え始めました。 

 
真横から見ると,バッタ類の口元がはっきりしてきます。ここが赤味を帯びている意味はなんでしょうか。

 
複眼を超接写しました。個眼がぎっしり。ずいぶん透明感のある眼です。


翅の表面を見ました。翅脈が見事です。自然の造形美に勝るものはありません。 

 
接写の世界は自然の“ふしぎ” “巧み”を届けてくれます。わたしに付き合ってくれたクビキリギスに感謝。