ダイコンを播種する際は,ある程度の粒を近くに蒔き, 生長の様子を見ながら間引いていきます。間引いたダイコンを“間引き菜”といい,緑色の食材としてたいせつに扱います。ダイコンのそれはなかなか味わいがあり,わたしは好きです。
わたしが好きなだけに,虫も好きなようで,ときには見る見るうちにレースのように葉脈だけが残る無惨な姿に成り果てます。それでもほとんど消毒をしないというのがわたしの栽培流儀です。葉が虫に食べられるのは,それだけ安全な証しでもあります。
そんな状態の間引き菜を食べるのですから,調理前はよく洗わなくてはなりません。この間なんか,洗うときにとんでもないほどの卵群を発見しました(下写真)。
カメムシかなんかだろうなと思いつつ,カメムシがこんなに卵をかためて産むのか気になりかけました。それで,この葉を水に挿して置いておき,孵化を見てみようと思い立ちました。
一週間もすると,卵は黒ずんできました。大変化です。間もなく孵化するなと思っていると,驚くような光景に変わっていたのです。ほとんどの卵が孵化し,幼虫がうじゃうじゃする感じで,卵殻の近くを動き回っていました。卵から出てくる幼虫もいました。結局,カメムシではありませんでした。ハバチかガあたりの,完全変態する昆虫でした。
こういうのを見るのは初めてなので,固唾を呑んで撮影しました。とにかくスゴイ光景でした。
こんなこともあるので,間引き菜を食べるときはよく洗わなくちゃいけません。洗っても,この種の卵はとれないでしょう。そんなつもりで食材と付き合うほかありません。