こんにちは、筒坊です。
先週で、新仕事1ヵ月をクリアしました。過去、水の仕事がメインでしたが、土壌、アスベスト、シックハウス等、色々な環境分析もやることとなり、また、新たな経験、ノウハウが蓄積できそうです。
さて、水以外にも、特許業務経験2社、資格(弁理士等)によって、知財に関しても、経験や知識がたまってきました。これをそのまま眠らせておくより、少し、オープン(当然、秘密情報は除きます)にした方が、何らかの社会貢献になるのでは思ってきました。そこで、楽しく知財情報も書いてみようと思います。
まずは、今、話題の半沢直樹について、知財権を調べてみました。
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1.商標出願人:株式会社TBSテレビ
2.商標: 半沢直樹
3.指定商品:14、16、18、21、24、25、28~30、32,33
4.商標出願番号: 商願2019-123388
5.権利の状態: 登録査定 2020年9月28日
6.審査の経過: 拒絶理由通知 → 意見書提出 → 登録査定
出典:特許庁HP 特許検索サイト
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なんと、最近(5日前)、登録になったのですね! 昔から権利になっているのだと思っていました。また、ビックリしたのが、一度拒絶理由通知を受けていることです。
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(1)拒絶理由通知 (特許庁→TBS) 2020年7月28日
この商標登録出願に係る商標は、「半沢直樹」の文字を横書きしてなるところ、池井戸潤氏の原作による小説シリーズの主人公の名前であり、「半沢直樹シリーズ」として知られており、さらに同小説を原作としたテレビドラマが制作され、公開されている等の事実が認められます。
そうすると、本願商標をその指定商品について使用をした場合には、本願の指定商品の取引者、需要者は、それらの商品が、あたかも池井戸潤氏と経済的又は組織的に何等かの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものと認めます。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当します。
なお、出願人が池井戸潤氏と経済的又は組織的に何等かの関係のある者であることが明らかになった場合には、この拒絶の理由は解消します。
(2)意見書提出 (TBS→特許庁) 2020年8月17日
2.本願商標が商標法4条1項15号に該当しない理由
池井戸潤氏の小説を原作とする日曜劇場『半沢直樹』は出願人が放送するテレビドラマであり、同氏は、出願人がこのドラマの関連商品を企画、販売することについて同意しており、かつ、本願商標の登録を受けることについても承諾しています(第1号証)。したがって、出願人が池井戸潤氏と経済的又は組織的な関係を有していることは明らかです。
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通常、これだけ著名な番組であるので、TBSさんが池井戸さん著作の半沢直樹の放送をしていて、関係が明らかなことは、誰もが知っている著名な事実であるとも思います。でも、その明らかな証拠を提出してくださいとの特許庁の明確なメッセージですね(半沢直樹のドラマでも悪役が必ず彼に言っていた言葉「誰もが納得する証拠を見せろよ!」ですね)。特に、最後の3行は、商標審査官からの出願人へのラブレター(愛のメッセージ)のように感じました。これらの証拠による権利獲得で、色々な問題(他者の無断権利化や、パクリ商売など)も防げますので。この結果、ある程度、TBSさんや池井戸さんの権利は、担保されたようです。ただし、知財知識のある者としては、上記だけでは、まだまだ不十分とは思いますが。
また、私、いや、世間の多くの方々が、半沢直樹のドラマに夢中でハラハラ、ドキドキ、ワクワクしていた中、テレビ局も特許庁との間で、しっかりと上記のような素敵な知財系のドラマがあったのですね。まずは、正当な権利を持っているテレビ局が、商標権を獲得できて良かったですね。