hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

King's Speech

2011年05月16日 | 映画
 ご存知の通り「Colin Firthに執着している私」にとって、この作品は must でしたが、見る前に気になっていたのは、とってもくだらないこと。

 なぜガイ・ピアスが兄で、コリンが弟なんだ?

 どうでもいいじゃないですかねー。でも気になって wiki しました、私。
 最初の主演キャストは私の大好きな Paul Bettany だったというじゃありませんか。それで納得。それにしてもジェニファー・コネリーって、私のイメージ通りだな・・・・とか、話は全然映画そのものから外れていきます・・・・・・
 
 感想は、一つの物語の裏側にはもう一つのドラマが隠されているのだなぁ、ということです。
 兄のデイビッドが愛する者のために王位を捨てた話の方がどちらかというと有名ですよね。
 「なんて勇気のある行動なんだ」と感心したものでした。それ以上に、
 「男にそこまでさせる女性ってどんな人?かなり尊敬してしまうわ」と思ったものです。
 そんな裏にこんなドラマがあったなんて。
 突如降って湧いたように王位につかなくちゃならなかったなんて気の毒だなぁとは思っていたのですが。

 先日テレビのドキュメンタリーで「Real King's Speech」というのを先に観ました。
 確かに治療を受ける前のスピーチは沈黙がありすぎてなかなか進みませんでした。でも、日本の皇室のスピーチもゆっくり一語一語切って話すので、これが上流階級の話し方だ、といわれればそれでいいようなくらい私には気にならないものでした。なので映画の方はあれくらい大袈裟にやったのが正解だと思いました。
 この番組では当時同じ所にセラピーに通っていた元吃音を持っていた方、今でも多少残っている方、などのインタビューも交え、ライオネルの治療がどのようなものだったかを語っていました。
 本当にユニークなやり方が多く最初はみなさん戸惑ったようでした。余談ですが、キングにはとても良かったこの治療法も、実際受けた人たちには賛否両論でした。吃音を治してもらい、周りから笑われないようにしたい、と強く願って通った少年は、いちいち舞台俳優のように話す癖がついてしまって、返って笑いものにされたとか。
 本物の王も本当に大人しくて真面目そうな方でした。それだけに言葉に詰まっている姿を見ると、心の中で「頑張れ!」と声をかけずにいられない雰囲気でした。最初のスピーチから、治療を受け、自信をつけてから行ったスピーチまで、ドキュメンタリーの方も同様追っていったのですが、最後の堂々たるスピーチは涙なしでは聴けません。


 映画の方に話を戻すと、ヘレナ・ボナム・カーターがクイーンってどうなんでしょう?ほかにいないわけ?とずっと思っていたのだけれど、いや、素晴らしかった!どっしり構えているというかそばにいるだけで心強い妻。あれは彼女じゃなきゃダメだ!実はずっと嫌いだったのよ、どうしても。今年は彼女の見直しイヤーです。
 対称的に、王位を捨てさせたアメリカ人人妻。ものすご~く魅力がない描かれ方でした。ここに根深いものが?こうして別のサイドから見てみるとロマンチックなエピソードも自分勝手なエピソードに変わってしまうのですよね。
 
 さて、私の評価は・・・・・3 out of 5
 役者の演技、音楽、セット、衣装、演出、総てにおいてバランスが良く、美しくまとまった作品です。
 ただ、私には特に心に残るようなものではありませんでした。
 一つケチをつけるとしたら、脚本賞はあげなくていいんじゃないかなー。台詞には特に凝ったところもないし、印象に残る言葉もないし・・・・・・どちらかというとありきたりだったり陳腐な台詞が目立ったというか(あーあ、言っちゃった)
 私はドキュメンタリーの方がとても印象的だったし、心に響いてきました。考えたら当たり前ですが。

 あっと、コリン・ファースの魅力は発見できたのか・・・・・・
 研究歴10年目にして今回はようやく。なかなかの演技だったと思いますよ。しかもローブを着ている姿に一瞬クラっときました。
 でも今回の受賞で国外でもずい分と知名度も上がったし、みんながみんな演技力があるともてはやしている風なので、私の方は卒業しようかしら。
 
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