hinajiro なんちゃって Critic

本や映画について好きなように書いています。映画についてはネタばれ大いにありですのでご注意。本は洋書が中心です。

Choke

2011年12月27日 | 映画
 クリスマスシーズン、たくさんの映画が放映されているので見まくっています。というか、今までに録画した映画が多すぎて、新しく録画することができずに、スペースを作るためだけに次から次へと必死で見て削除している、という追い詰められながら見ている状態です。

 この映画は「Fight Club」を書いた作家の別の小説を俳優のクラーク・グレッグが監督して映画化したものです。
 テーマパークで働くセックス中毒者ビクター(サム・ロックウェル)が、アルツハイマーの母親の入院費用を稼ごうと、レストランでわざと喉を詰まらせて、同情をかってお金をせしめる・・・・・・というあらすじが色々なところで紹介されていますが、私が観た限り、というか勝手に解釈を変えたところ、そういう話ではなく・・・・・

 悪ぶってそういう風にお金を手にしていると言ってはいるけれど、喉をつまらせて苦しんでいる見ず知らずの自分を周りが心配して助けをオファーし、無事を確認できた時のその場を包む温かい雰囲気を求めている感じ。
 それというのも子供のころから自由奔放な母親にふり回される生活をし、いわいる「普通」と思われる「ふれあい」などの経験がないから。セックス中毒なのもやっぱり幼いころからの「つながり」や「ふれあい」の不足が引き起こしているのだと、そういうことをいっているのではなかったのかなぁ。愛情不足、というのとは多少違うけれど、母親の愛情表現が自己愛の上に成り立っているタイプのもの、とでもいうのかなぁ。
 病気が進行していく母親はビクターのことが誰なのかもわからず、毎日通っているにもかかわらず、訪問の度に別の名前で呼ばれる。そんな中、会話の中から、彼には出生の秘密があることがわかり・・・・・・
 なんとなくうわっついていて、歩んでいく方向を見失っているビクター。愛憎の入り混じった母親に対する思い。それでも誰よりも母をいたわる気持ちが強い。サム・ロックウェルの演技が良いためか、グッときます。
 途中ツイストがあり、皮肉があり、最後にあっと驚く真実があったりと、なかなか面白い作品でした。

 ポスターが quirky すぎるのがなんともやりすぎで微妙、ブラックコメディなのは確かだけど、とびきりのヒューマンドラマと私は(きっと勝手に)解釈して、
 7 out of 10 くらい。原作も読んでみたいし、お薦めしたい作品。


 対照的に、凝った作りにしようと頑張り過ぎて、非常に残念というか、多分今年観た(最後まで頑張って辿り着いた)映画の中で一番面白くなかったのはこちら。
 「Bronson」
 
 なんだってこんな映画を作ろうと思ったのかしらん。
 英国一乱暴者で困ったちゃんだった囚人。So what? 本当に乱暴者でどうしょうもなかっただけで、だから何なんだ、ってことも何にも表現されていない。
 トム・ハーディの無駄遣い!
 彼の演技はとても良かったと思うし、きっと一生懸命ブロンソンの研究をして役作り体作りに励んだんだろうけど、いかんせん内容のないどうしようもない作品。
 本当は 0 だけど、トム・ハーディが素敵だったので、3 out of 10 相当おまけ。
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