『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  166

2010-03-11 08:48:21 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 浜の一箇所にかがり火が燃えている。
 ルドンは船の点検をしていた。アミクス、タルトスは隊を整えるのに余念がなかった。
 『隊長っ、全員揃いました。』
 『おうっ、皆、揃ったか。腹ごしらえも終わっているな。よしっ、乗り込めっ。』
 『オキテス、出航か。無事の帰着を待っている。』
 聞き覚えのある声が背中に聞こえた。アエネアスの声である。
 『統領、私らを、、、。ありがとうございます。無事の帰りを待っていてください。』
 『あれっ、パリヌルス、お前も来てくれたのか。俺は行って来る。帰りを待っててくれ、朗報を積んで帰ってくるからな。いいな。』
 『船には、話したとおり、積荷等に配慮してある。詳しいことはルドンに聞いてくれ。』
 全員の乗船は終わっていた。海面が白く泡立った。陸風の第一風が船を押した。船はサモトラケに向かって海面をすべり始めた。

 一番鳥が時を告げる。あちこちの広場に野営している者たちの目覚めるときである。各所がざわざわし始めた。一日を水浴から始める者、朝餉の準備に取り掛かる者、闇が引き始め、明るさが増してくる。朝はどこから来る。天動思考のこの時代、東から昇る太陽がつれてくる。単純明快な考えであった。