存在する恐怖は二つである。
第一の恐怖は、この船に乗っている53人の隊の者たちの尊い命である。この53人の命を自分の無策によって失うことが怖かった。
第二の恐怖は、未知の闘争思考を持った敵と闘うことの怖さであった。
これらの恐怖は、オキテスが隊を率いるようになって、初めて感じる恐怖であった。心の中にひそんでいた臆病が、これらの恐怖の危機に対して、用心深くなるように気づかせたのである。
また、大波が船底を打った。パリヌルスにあって、己に欠如していたものがオキテスに見えた。
彼は、風に吹き散らされることのない、よく通る声でルドンを呼び寄せた。
『お~いっ!ルドン、船尾方に以上はないか。』 ルドンがオキテスの許に来る。
『今のところありません。』
『よし、船倉に降りて、諸事を打ち合わせよう。船は予定した通りに進んでいるな。』
『太陽もこの位置です。予定通りです。』
『パリヌルスからの言伝ても聞く。作戦を打ち合わせる。積荷を見ながら、打ち合わせをやる。いいな。』
『判りました。引継ぎをしてきます。隊長は先に降りていてください。』
第一の恐怖は、この船に乗っている53人の隊の者たちの尊い命である。この53人の命を自分の無策によって失うことが怖かった。
第二の恐怖は、未知の闘争思考を持った敵と闘うことの怖さであった。
これらの恐怖は、オキテスが隊を率いるようになって、初めて感じる恐怖であった。心の中にひそんでいた臆病が、これらの恐怖の危機に対して、用心深くなるように気づかせたのである。
また、大波が船底を打った。パリヌルスにあって、己に欠如していたものがオキテスに見えた。
彼は、風に吹き散らされることのない、よく通る声でルドンを呼び寄せた。
『お~いっ!ルドン、船尾方に以上はないか。』 ルドンがオキテスの許に来る。
『今のところありません。』
『よし、船倉に降りて、諸事を打ち合わせよう。船は予定した通りに進んでいるな。』
『太陽もこの位置です。予定通りです。』
『パリヌルスからの言伝ても聞く。作戦を打ち合わせる。積荷を見ながら、打ち合わせをやる。いいな。』
『判りました。引継ぎをしてきます。隊長は先に降りていてください。』
