『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  254

2010-07-14 07:25:43 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 あれこれしている間に頭上の星の光は消えていた。
 『そろそろ、陽が昇ります。皆さん、まいりましょう』
 この言葉に一行は、東の方角に顔を向けた。
 『よしっ!出発しよう』
 力のこもったアエネアスの声がした。彼らは砦を後にした。
 歩を進めながら、トリタスが皆に配ったものは、海水をかけて、丹念に干した牛肉であった。古代のビーフジャーキーである。
 『これを噛みしめながら、歩を運びましょう。足の疲れを忘れます』
 一行は、キノンを先頭に明るくなりつつある原野を北に向かった。歩を進めているところは踏みならされていた。潅木の茂みを抜けて、砦建設の木材を伐りだした森が見えてきた。 20000本にちかい木材を切り出した森である。その伐り株の広がっている面積は広い、想像を超える広さであった。面積は70000平方メートルを超える広さである、(21200坪余、甲子園球場グランド5個分に相当する)アエネアスは改めて木材を伐りだした森を眺めた。
 砦建設のみを考え、その資材の調達しか眼中になかった自分たちが自然に与えた、その傷あとが生々しく目に映った。しかし、その所業は、必要な所業であったのだ。