『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  23

2011-12-07 08:27:22 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 全員がなみなみと酒の注がれている杯を手にして立ち上がった。エノゼリアスが乾杯を声たからかに告げた。
 『一同っ!健やかであることが何よりである。さあ~、飲み干そうっ!乾杯っ!』
 一同は、杯を干した。これを期に一同は肩から力を抜いて腰を下ろした。座の雰囲気に和みが出てきた。
 『アエネアス、ところで肝心の来意を聞いておらんぞ。話してくれ。何ぞ、重要な用件か。人払いが必要なのか』
 『いえ、そのような配慮はいりません。このままでよろしゅうございます』
 『じゃあ、話せ。俺とお前の仲だ。きりだせないなら、背中を押してやるぞ』
 アエネアスには多少の緊張があったが、エノ是リアスのひと言でそれを飛び越えた。
 『では、、、』 と言って、一同の顔を見回して話し始めた。
 『トロイがギリシアの者どもに焼討ちされ、炎上する火の中から、生きているひとにぎりの民を引き連れてトロイを去ったのは、我々に一つの志があったからなのです。その一つの志とは『建国』です。ここを去って、もう一度、新しいトロイを興そう』
 ここでアエネアスは、酒で唇を湿らせた。そして、領主エノゼリアスの目を見つめた。