『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY          第4章  船出  34

2011-12-23 08:31:47 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『統領、航海日程のおおよそのことは、見ていただいたらお判りいただけると思います。天候に恵まれ、なんらの支障もなく、航海を続けることが出来れば、デユロス島での統領の行動日を含めて、エノスの浜を船出して、13日目の午後には、クレタ島の西の岬辺りに着く予定となります』
 『ほう~っ、パリヌルス、これは判りやすい』
 『一番目に寄港するレムノス島での風待ちがなく、出航が予定通りにいけば、ミコノス島には2昼1夜で着港します。ここで7日間逗留します。統領の用向きのデユロス島へは、別船を仕立てて行っていただけるようにはからいます。なお、ここまでは、この海域に詳しいオキテスがエノスからミコノスまでの水先案内をやります。統領、いかがですか。ここまでのところ、質問はありませんか。軍団長はいかがですか』
 『おうっ、質問か。デユロスへの別仕立ての用船は、どうするのだ。現地で借りるのか』
 『いえ、借りません。私たちが曳航していく舟艇を使用する予定でおります。尚、この舟艇は航海中、各船に食事を届ける任に当たります』
 アエネアスは、自信に満ちているパリヌルスの説明に納得した。
 次いで、イリオネスから質問である。
 『レムノスからミコノス島の2昼1夜と言うのはどういうことなのか』
 『この海域は、夜といえども航走を続けます』
 『判った』
 イリオネスは了解した。
 『ミコノスからクレタ島までは、この私が水先案内を務めます。ミコノスからイオス島までは、エノスからレムノス島までの距離と同じくらいです。イオス島には夕刻に着いて、明早朝にクレタ島に向けて出航します』