『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  71

2013-08-01 08:33:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは、言葉に力を込めた。
 『俺たちは弔いの戦いをやる。彼らの供養だ。それによって、築砦の地の霊を慰める!彼らを襲った海賊どもをせん滅する。いいな、判ったか。一人も残さず、あの世へ送る。一同っ!心するのだ。これが君らの使命だ。これより海賊が根城にしている小島に向かう!』
 パリヌルスの興奮は極度に達していた。軍団長に代わった。
 『隊長の言う通り、君らの使命だ!遂行せよ、やり遂げるのだ!お前らが一丸となってやる大作戦である。励めっ!』
 先駆けする者たちの胸の可燃物に火がついた。そして、喊声をあげる。沸きに沸いた。火は勢いよく燃えあがった。
 『者ども、船を海におろせ!乗船っ!各員配置につけっ!』
 船長、副長らの檄が飛び交った。出航体制が整った。パリヌルスは、アヱネアスと二言三言言葉を交わして、1番船の舳先に立った。右手を高~くかかげて前方に向かって振り下ろした。櫂が海面を泡立てる。船は波を割った、白い泡だつ航跡を残して浜を離れた。浜には、彼らを見送る者たちの手が揺れていた。
 空にかかる月の高さが低い、ほのかに明るい海上を2隻の軍船とそれに比して小さな舟艇が西へと進んだ。風が吹き渡っていく、波高の低い小波がうねる。彼らの作戦行動の隠密性にふさわしい夜であった。
 パリヌルスはリナウスを呼び寄せた。