『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  90

2013-08-28 07:27:55 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 打ち合わせを終えたパリヌルスは、オキテスと向き合った。
 『おっ!オキテス、ありがとう。いいタイミングでパンを届けてくれた。本当にありがとう。まさに時を計ったように来てくれた。感謝感謝だ』
 パリヌルスは、握手するべく右手を差し伸べた。彼の気持ちを受けるオキテスは、手をしっかりと握り返した。
 『パリヌルス、ご苦労だったな。勝利したか。戦死者が四名か、相手も剛の者どもだ、まあ~、仕方のないところだろう。新しい土地に移っての弔いか、それがいい。スケジュールに組み入れておく。これで今日の見通しが立った。統領、軍団長にも事情を伝える。では、これで俺は引きあげる。お前は休め』
 オキテスは、艀に乗り島を去った。パリヌルスにも休息の時が訪れた。彼は、船に戻り、身を横たえた。仮寝の小休止といったところであった。

 どれだけの時を身を休めたであろうか。パリヌルスは、横たえた身で青空を見上げた。高く澄んでいた。彼はある程度、正確に時を知ろうと思った。
 陽を中天に認めた。充分に睡眠がとれている。意識にあいまいさがなかった。
 『どれ、行こうか』
 彼は身を起こした。おのずと目線は、島に向く。島を見ることで今日のこれからが考えられた。彼の行動にそつがない、一挙手一投足に無駄がなかった。
 『よし!、これからみんなで昼めしを食おう。酒の一樽も積んで来るのだったな』
 呟やいて、頭と首筋を平手でたたいた。
 『ジャンプするときには、身をかがめる。それが自然の動きというものだろう。くつろいで次へだ』
 独り言ちて、海を眺め、岬の方角を見た。