『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  79

2013-08-13 08:16:19 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 懸命の命のやり取りをすましたアレテスは、へたばった。地面にベタッと腰を落とした。アレテスは気を休ませた。しかし、そのようなヒマはない。彼はやおら立ち上がった。肩で息をしながら闘争の場を見まわした。剣を突き合わせている組があと4組である。そのうちのひと組が血みどろになりながら渡り合っている。彼は、目の前にいる手すきらしい三人に指示を発した。
 『お前ら、手を貸してやれ!やっつけろい!』
 彼は、従卒の一人を連れて闘いの場を見まわっていく。てきぱきと指示を発していく。手すきの者を呼集した。
 『火付けした船もやがて燃え尽きる。お前ら闘いの場を見まわって来い!もしや、虫の息でも息のしている奴がいたら、とどめを刺して完全に息の根を止めるのだ、二度と生き返らんようにだ、直ぐ行けっ!それから、味方の者でケガのしている者がいれば、即、手当をしてやるのだ。その役をする者が三、四人来ているはずだ』
 彼は突如声を荒らげた。
 『今、言ったこと急いでやれっ!急ぐのだ!』 と指示を発した。
 パリヌルスは、カイクスに味方の損害についての調査を急がせた。
 夜明けにはまだ間がある。戦闘を開始して費やした時間は、一刻(2時間)ぐらいと思われる。考えていた通りの時間で事は決着した。
 太陽が夜明けを告げるまでにあと一刻半(3時間)くらいであろう。彼は戦場整理の段取りを考えた。
 偵察隊の面々も武器を手にして戦った。ソリタンは、初めての命のやり取りに加わった。興奮がおさまらない、震えが止まらない、顔は青ざめていた。パリヌルスが声をかけた。
 『闘いとは、このようなものだ。胸のつかえがとれたか?これで親御さんも成仏される』
 『ありがとうございます。私、お役にたてたでしょうか?』
 『おう、ソリタン。それは、充分であったぞ、ありがとう』
 彼は、ソリタンの情報があったればこその部分を心中で感謝した。