『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  91

2013-08-29 08:21:40 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼の目に一艘の艀が飛び込んできた。
 『今度は、何事だ?』
 近づいてくる、乗っている者が判別できる。艀が浜に乗りあげる。浜にいる者たちが寄ってくる。パリヌルスは、人垣をかき分けて、すかさず艀の上の者たちに声をかけた。
 『おう、セレストス。お前、何用だ』
 『あっ、パリヌルス隊長。統領、軍団長、オロンテスの皆さんがこれを、ここへ届けろと、、、』
 『ほっほう、酒と馳走ではないか。これはありがたい届け物ではないか。ありがたい』
 彼は周りの者たちに声をかけた。
 『おい!荷降ろしに手を貸せ』
 艀を囲んでいる者たちが即座に手伝った。
 『昼めしだぜ!酒樽もある』
 喉を鳴らしながらせっせと手伝った。
 『粋なはからいじゃないか。しかし、酒杯がない、俺たちに手で酌んで飲めというのか。はっはっは!まあ~、何でもよい、酒さえあれば重畳重畳!』
 セレストスがパリヌルス隊長に声をかけた。
 『これらをお昼にどうぞと統領の言葉です。このたびの勝利、統領以下私たち一同、心から喜び、祝っています。荷降ろしが終わりました。私どもは帰ります』
 『おう、セレストス、ありがとう。統領、軍団長に一同大感激で喜んでいた。と、よろしく伝えてくれ。また、オロンテスには、ありがとうと伝えてくれ』
 セレストスは、浜を去った。浜に居並ぶ者たちは、感謝の念を込めて、彼らを見送った。パリヌルスは、心を使ってくれている皆に、心の中で礼を言った。
 『おう、リナウス、お前、ちょうどいいとこにいる。10人ほど連れて、掘立小屋へ行って、酒杯を探して持ってくるのだ。いいか、すぐ行け』
 次いで辺りを見回す、
 『お~い、カイクス、届き物を浜の真ん中に運んで昼めしの場を作れ。充分とはいえないが、酒を酌み交わして勝利を祝おう。統領、軍団長の心使いだ。ありがたく頂戴して、飲んで昼めしとしよう』
 『判りました。結構です。一同が喜びます』
 カイクスが指示して、ささやか酒宴の場つくりにあたった。