『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  80

2013-08-14 08:27:24 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスは、『お~い、リナウス』大声で呼んだが姿を見せない、声の届かぬ所にいるらしい。従卒に探させた。間をおいて、リナウスが姿を見せた。
 彼はリナウスの風体を見て声をあげそうになった。全身に返り血を浴びている。本人もかなりの手傷を負っているみたいである。浴びている血にぬくさが感じられるのではないかと、瞬間思った。
 『お前、大丈夫か?』
 『え~え、やっとの思いで敵を倒すことができました。手強い奴でした』
 『そうか、傷の具合はどうだ、耐えられるか』
 『深手ではありません。大丈夫です』
 『手当をやっている者のところへ行って、手当をしてもらうのだ。従卒は連れていけ』
 彼は、従卒に指示を出した。
 『ギアスを探して、俺のところへ来るように伝えてくれ』
 『判りました』
 パリヌルスは、海賊との闘争の収拾について考えた。ギアスが姿を見せた。
 『隊長、海賊との闘争の終了時期が来たようです』
 『おう、ギアス、ご苦労。隊長、副長たちを急ぎ集めてくれ。浜の真ん中だ』
 『判りました。隊長、ちょっと報告します。副長のアバスがやられました。以上です』
 『アバスがか』
 パリヌルスの表情が、無念にゆがんだ。
 ギアスが激しく闘争を展開した浜へと歩を運んでいく。アレテスを見つけた。アレテスを囲んで副長連がいる、カイクスの姿もそこに見つけた。