東の空から夜が消えていく、星のまたたく漆黒の空が藍色に、水平線に接する辺りから星の光が消えていく、青ずんでくる、朝の光が昇りくる、空の一角が黄金色に輝く、陽光の第一射が浜を照らした。
浜に朝が来た。各所に朝の声がけが飛ぶ。オロンテスとギアスが指示、叱咤を飛ばしている。活性の満ちた朝の風景であった。
今朝のアヱネアスは、常であるユールスを伴っての朝行事である。彼は朝の浜の風景がたまらなく好きであった。そこには生きとし生ける者たちの命の燃焼の姿があるからである。
彼はユールスと身体を密着させて海に身を浸す、互いの心臓の鼓動が通い合う、アヱネアスは、鼓動のリズムに合わせて、愛しき我が子に伝えるべきを事を伝える親と子の大切な時であった。
彼はそれをやりながら今日を考えた。父アンキセスに伝える<ゼウス神殿>詣での思案である。彼は聴きに徹すると決めた。互いが心中に持している未来への志向を闘わせることを避けると決めた。父も己もクレタの地が建国の地であるか、ないかについての疑心を抱いている。この認識は、父と子の考えが一致している<アポロの神託>を信じたわけではないが、自分たちが誤って受け取っているであろうと思う節がある。<アポロの神託>の言葉は、それくらいに曖昧模糊とした言葉なのである。それを誤って解釈した己を責めるか、それに信を置いた己を悔いるかであると考えた。いずれにしても、クレタの地について断を下す時が近い明日にあることを心と体に感じていた。アヱネアスは、この決断の重さを身に感じていたのである。民族を統べる頂点の位置にある己をアヱネアスは直視した。
『決するところを為して、確かな一歩』と決断した。そこには、ユールスの手を引いた晴れ晴れとしたアヱネアスの姿があった。
イリオネスが、オキテスが、パリヌルスが朝の挨拶言葉をかけて、すれ違い行きかった。
アヱネアスの自信、自覚が確かなものに昇華していく、浜の砂地に力強く歩を印して起つ自分自身を認めた。
彼は、朝行事の海を振り返って見た。
『Let's go!一歩、前へ!』と大声で叫びたい衝動にかられた。
浜に朝が来た。各所に朝の声がけが飛ぶ。オロンテスとギアスが指示、叱咤を飛ばしている。活性の満ちた朝の風景であった。
今朝のアヱネアスは、常であるユールスを伴っての朝行事である。彼は朝の浜の風景がたまらなく好きであった。そこには生きとし生ける者たちの命の燃焼の姿があるからである。
彼はユールスと身体を密着させて海に身を浸す、互いの心臓の鼓動が通い合う、アヱネアスは、鼓動のリズムに合わせて、愛しき我が子に伝えるべきを事を伝える親と子の大切な時であった。
彼はそれをやりながら今日を考えた。父アンキセスに伝える<ゼウス神殿>詣での思案である。彼は聴きに徹すると決めた。互いが心中に持している未来への志向を闘わせることを避けると決めた。父も己もクレタの地が建国の地であるか、ないかについての疑心を抱いている。この認識は、父と子の考えが一致している<アポロの神託>を信じたわけではないが、自分たちが誤って受け取っているであろうと思う節がある。<アポロの神託>の言葉は、それくらいに曖昧模糊とした言葉なのである。それを誤って解釈した己を責めるか、それに信を置いた己を悔いるかであると考えた。いずれにしても、クレタの地について断を下す時が近い明日にあることを心と体に感じていた。アヱネアスは、この決断の重さを身に感じていたのである。民族を統べる頂点の位置にある己をアヱネアスは直視した。
『決するところを為して、確かな一歩』と決断した。そこには、ユールスの手を引いた晴れ晴れとしたアヱネアスの姿があった。
イリオネスが、オキテスが、パリヌルスが朝の挨拶言葉をかけて、すれ違い行きかった。
アヱネアスの自信、自覚が確かなものに昇華していく、浜の砂地に力強く歩を印して起つ自分自身を認めた。
彼は、朝行事の海を振り返って見た。
『Let's go!一歩、前へ!』と大声で叫びたい衝動にかられた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/face_yaho.gif)