『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  494

2015-03-26 08:22:02 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オキテス、ガリダがここに来るのはいつ頃かな?その前に主だった者たちを集めて、留守中の事について、彼らに伝えようと考えている』
 『よし、、それはすぐやろう!ガリダが来るのは、いずれにしても昼少し前くらいとと思っている』
 『オロンテスの方はどうだ?』
 『俺の方は、時間的都合は、これといってない。オキテスの言うように、すぐやろう』
 『判った。場所は浜でいいな。班長格の者たちを招集して、指示打ち合わせをやる』
 三人は即刻手配に取り掛かった。アレテス、ドックス、マクロス、リナウスら10人が集まった。オキテスはガリダ来訪の事もあり、打ち合わせの一切をパリヌルスに任せた。
 パリヌルスは、統領の山行の事、軍団長が随行していること、二人が5~6日留守になることを伝えた。そして、本日より造船事業がスタートすることと、その事業進行の概要を説明して打ち合わせを終えた。
 『オロンテス、二人の留守の間は、キドニア行はセレストスに任せて、ここを離れないでいてくれると助かる』
 『その件は、承知している。この季節だ、農事の事もある。判った』
 『有難い、よろしく頼む』
 『パリヌルス、打ち合わせは終わったな、俺はガリダとの打ち合わせに集中する。ガリダが海路を来るか、陸路を来るか判らん。ドックス、マクロスと一緒に広場にいる。彼が来たらよろしく頼む』
 『判った』
 彼ら三人も各人の持ち場へと散った。

 ギアスは、東に位置するでっかい半島岬の西北端を目指して、風を読んだうえで進路を北へととった。陸から吹いてくる風を効果的に帆にはらんで、航走しようと考えての事であった。進むにしたがって風向きが変わる。南からの風が西南の風に変わってくる。彼は風ハラミを帆に直角にとらえるようにして艇を航走させた。半島岬の北端が右手真横に見える地点までに来ていた。
 彼は、風を読んだ。
 『よしっ!この風なら、帆走で行ける』
 彼は指示を発した。
 『漕ぎかた止め!舳先帆柱展帆!カジテス、進路変更右へ、半島岬の北へだ!岸に沿って東へだ!』
 『了解!』
 艇は、東へ舳先を向けて快走する。いい西風が艇を東へと押した。