『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  672

2015-12-08 05:34:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 ニューキドニアの浜に向かうヘルメス、そよっと吹く風が東からきている。順風とはいかない、追い風はありがたい。漕ぎかたは力むことなく櫂操作して航走していく、帰って来た。
 浜に降り立ったオロンテスは、忙しく采配しているセレストスの姿を目にする。近寄っていくオロンテス。
 『おう、セレストス、ご苦労!』
 オロンテスはセレストスの背中に声をかけた。振り返るセレストス。
 『あっ!棟梁。お帰りなさい』
 『仕事の具合はどうだ?』
 『え~え、順調に流れています。焼き上げた堅パンの状態もよく、もう、箱詰めが終わるころです。浜への荷運びも見られるように7割方終わっています』
 『おっ!そうか。仕事が終わったら一同を工房前の広場に集めてくれ。それから、堅パンの出来あがりの総数の事だが、予定した数通りに仕上がっているか?』
 『はい!それについては、荷運びを終えた時点で確認するということにしています。予定数に不足するということはありません。いくらか余分があるはずです』
 『よし!それをしかと確認してくれ。ここに荷積みするのは、各堅パンの予定数に1箱づつ増やして、羊乳蜂蜜61箱、ウス塩61箱、ミックス31箱、合計153箱に整えてくれ』
 『解りました。間違いなく数量を整えます』
 『明朝は、総出で荷積みを手伝ってくれ。キドニア行は、ヘルメスと舟艇の2艇に荷を積んで行く。舟艇の方の担当は、セレストス、お前だ、いいな』
 『解りました』
 『羊乳蜂蜜堅パンはヘルメスに積む。ウス塩堅パンとミックス堅パンは舟艇に積む。いいな、質問は?打ち合わせを終わる』
 『解りました。質問はありません』
 セレストスは仕事に戻った。彼は、仕事の推移を見守りながら、目を空にやる、今宵から明朝にかけての空模様を探る、傍らの者に声をかけた。
 『おい!どう思う?今宵から明朝にかけて雨が来ると思うか?』
 『あ~、班長、その心配ですか、それは無用です。雨の心配はありません。凪の後はそよ風です。夜露の心配もせずとも朝が来ます』
 『そうか、その心配は無用か、それは助かる』
 荷積みの者から報告が来る。
 『班長、羊乳蜂蜜の方は、62箱です。ウス塩の方もそろそろ荷運び完了の予定です。終わり次第、数の確認をします』
 『お~い、ウス塩の方は61箱で終わりだぞ、余分は持って帰らせてくれ。いいな』
 『判りました』