昼食会は和やかに進んでいる。雑談が肴になっている。
雑な談義がネクストへのステップになることもある。彼らは雑談をおろそかにすることはなかった。雑談が彼らに気づかせる万象を大切にした。
オロンテスが座をはずす、パン工房へ堅パンを詰めた箱を取りに向かった。
一同は堅パンの詰まった箱を改めて目にした。
アヱネアスが口を開く。
『おう、オロンテス、それが堅パンを詰めた箱か。ほどいい大きさではないか、蓋をとって見せてくれ。なかなか気の利いた造りではないか。簡単構造でありながら使用用途に適した造りではないか。この箱に堅パンをどれだけ入れるのかな?』
『はい、堅パン60枚です』
『そうか60枚か、いい枚数ではないか。40~50ではちと少ない感じがする、そうと言って80~100では多すぎる感じがする。60とはいい数だな』
『60という数字に関して統領もそのように思われますか。テカリオンもそのように言っていました。それで、セレストスにどうして60枚入りにしたのかと質したわけです』
『ほ~う、どのような返事が返ってきた?』
『箱を作るときに準備した用材のサイズも関係したのですが、仮り箱を作って堅パンを入れてみて、60枚入れた箱の大きさが、タテ、ヨコ、タカサの均整の取れた、扱いやすい大きさ、用材の量、限られた時間内に作れる箱数も関係したのです。そして、出来たのが堅パン60枚入りの箱だったというわけです。ところが60という数字が、いかに便利な数字であるかがセレストスの説明で解りました』
『何っ!?60が便利な数字だと?』
オロンテスは、『60』という数字について説明し始めた。
『『60』という数字は、物の分配に関してとてつもなく便利な数字なのですな。1から100までの数字の中で、約数、物の分配に関して割る数が1番多い部類に入る数なのです。約数の多い数は、60と90の二つだけなのです。それで60が最適ということで60にしたということです。私は『ほっほう!』と感心しましたね。そういうわけです』
『ほう、『60』という数はそのような数か、目からウロコだな』
一同は、オロンテスの話に感心した。
イリオネスは何かを思い出していた。彼は、この『60』という数字を過去に使ったことを思い出していた。
『そうだ。トロイ時代に、この『60』という数字を使ったことがある』
彼は、トロイにおいて役務の関係でこの『60』という数字を使った。アンキセス(アヱネアスの父)に従って、金鉱、銀鉱の採掘業務に携わっていたとき、採鉱作業、選鉱施設の設計に使った数字である。その時、アンキセスが話してくれた。
『イリオネス、この『60』という数字はだな、ものを分けるとき、物事をするとき、何かを造ったりするときに使う便利な数字なのだ。『60』という数字はだな、約数が多いのだ。2から3、4、5、6、10、12、15、20、30まで10個もある。いろんな事に使える。これを使って、作業、設計、分配と仕事をやるのだ』ということであった。
雑な談義がネクストへのステップになることもある。彼らは雑談をおろそかにすることはなかった。雑談が彼らに気づかせる万象を大切にした。
オロンテスが座をはずす、パン工房へ堅パンを詰めた箱を取りに向かった。
一同は堅パンの詰まった箱を改めて目にした。
アヱネアスが口を開く。
『おう、オロンテス、それが堅パンを詰めた箱か。ほどいい大きさではないか、蓋をとって見せてくれ。なかなか気の利いた造りではないか。簡単構造でありながら使用用途に適した造りではないか。この箱に堅パンをどれだけ入れるのかな?』
『はい、堅パン60枚です』
『そうか60枚か、いい枚数ではないか。40~50ではちと少ない感じがする、そうと言って80~100では多すぎる感じがする。60とはいい数だな』
『60という数字に関して統領もそのように思われますか。テカリオンもそのように言っていました。それで、セレストスにどうして60枚入りにしたのかと質したわけです』
『ほ~う、どのような返事が返ってきた?』
『箱を作るときに準備した用材のサイズも関係したのですが、仮り箱を作って堅パンを入れてみて、60枚入れた箱の大きさが、タテ、ヨコ、タカサの均整の取れた、扱いやすい大きさ、用材の量、限られた時間内に作れる箱数も関係したのです。そして、出来たのが堅パン60枚入りの箱だったというわけです。ところが60という数字が、いかに便利な数字であるかがセレストスの説明で解りました』
『何っ!?60が便利な数字だと?』
オロンテスは、『60』という数字について説明し始めた。
『『60』という数字は、物の分配に関してとてつもなく便利な数字なのですな。1から100までの数字の中で、約数、物の分配に関して割る数が1番多い部類に入る数なのです。約数の多い数は、60と90の二つだけなのです。それで60が最適ということで60にしたということです。私は『ほっほう!』と感心しましたね。そういうわけです』
『ほう、『60』という数はそのような数か、目からウロコだな』
一同は、オロンテスの話に感心した。
イリオネスは何かを思い出していた。彼は、この『60』という数字を過去に使ったことを思い出していた。
『そうだ。トロイ時代に、この『60』という数字を使ったことがある』
彼は、トロイにおいて役務の関係でこの『60』という数字を使った。アンキセス(アヱネアスの父)に従って、金鉱、銀鉱の採掘業務に携わっていたとき、採鉱作業、選鉱施設の設計に使った数字である。その時、アンキセスが話してくれた。
『イリオネス、この『60』という数字はだな、ものを分けるとき、物事をするとき、何かを造ったりするときに使う便利な数字なのだ。『60』という数字はだな、約数が多いのだ。2から3、4、5、6、10、12、15、20、30まで10個もある。いろんな事に使える。これを使って、作業、設計、分配と仕事をやるのだ』ということであった。