『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FRPOM TROY   第7章  築砦  680

2015-12-18 05:14:31 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 一同がオロンテスの話を受けとめた。アヱネアスが口を開いた。アヱネアスを見つめる八つの目。。
 『おう、オロンテス、お前の考えを聞いた、よく解った、納得できる。皆も納得したであろう。俺の考えを述べる』
 アヱネアスは、四人の見つめる目と目をを合わせた。おもむろに口を開く、姿勢が改まった。
 『俺たちにはよく解っていない、解っているのかと問われると、『ノー』としか答えられない。このクレタにおける、この種の船の建造と取引の実態と現状、そして、その価格だ。おぼろげでもいいその実態を知りたい。俺の想いは、その実態、その実勢、その現状を破壊する!その考えでもって、この事業を遂行して完結する。そして、事業が未来に引き継がれていくカタチができればと考えている。5艇、同時完成はそのためでもある』
 一同は、カタチとして、完成していない、アヱネアスの統領としての事業構想を耳にした。パリヌルスら三人の構想の上を行く構想である。三人はこの構想に打ちのめされた。解らないのはイリオネスの考えである。三人はイリオネスの意向、意見は聞いてはいない、アヱネアスと同等の意向であり、意見ではなかろうかと推考した。
 オキテスが述べる。
 『明日の会議では、新艇の価格決定作業の段取りを決めることが焦点であろうと考えています。明日の会議を終えて、短時日の間に価格決定の会議が開かれる。私はそのように考えています』
 イリオネスは、新艇の価格決定に関する状況を把握した。彼もアヱネアスの未来を見すえた意向、意見に感動していた。パリヌルスら三人はしたたかに頭部を強打された感じを受けていた。
 イリオネスが言う。
 『統領の意向、意見。オロンテスの考えを聞いた。新艇の価格決定に対して、どのようにスタンスするかを決めるところに来た。少々、休憩して会議を続けよう。その間に各自考えをまとめろ!いいな。我々全員が共通の認識を持って、この件に対する姿勢を決める!』
 一同の緊張がほぐれる、雑談を交わす、山菜を乾燥させ煮出した茶を喫しながら交わす話には力みがなかった。
 パリヌルスは考えていた。合議制をもって決める新艇の価格は、妥当なものであろうと考えている。価格決定の諸条件、世情、状況の判断、決定に至るプロセス、我々の考えの及ばない要因も含んで決まると予測していた。それが信頼される妥当性のある新艇の価格である。
 提示価格は、商談、交渉、駆け引き等に対する弾力性のあるものに決まってくれることを望んでいた。個々の場において、考えも及ばない心理状態も作用する、大型商談のまとまる不思議もあることであろうと考えていた。