『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  686

2015-12-28 04:56:43 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、マスター、今日は遅かったな。待っていたのだぞ!』
 『あ~、それはそれは、申し訳ない、お許しをーーー』
 売り場のスタッフたちはてきぱきと事を運んでいく。
 『そうか、今日は風がきつめに吹いている。海は荒れていたか?大変だったな。いつものパンを3つくれ』
 『は~い、お待ちどうーーー』
 『ありがとうございます。お客様、お待たせしたお詫びです。口にしてみてください。新しく焼いた堅パンです。塩味と羊乳蜂蜜味です。どうぞ』
 客は手にした堅パンを口に運んだ。
 『おう、これは噛み応えがある。噛んで砕けば口の中にうまさが拡がる。マスター、これはいけるかもな』
 『ありがとうございます』
 『マスター、この風は、心配せずとも、昼過ぎにはおさまる』
 客は売り場をあとにした。パン売り場の今日が始まった。

 オキテスは、スダヌスの売り場を訪ねている。
 『浜頭は、おいでですかな?』
 『あっ!どちら様で?』
 『はい、ニューキドニアのオキテスと言いますが』
 『浜頭は詰所の方に出向いていますが、もう帰ってくる頃ですが、お待ちになりますか。呼びに行ってきます』
 『そうですか、お世話かけます。待ちます』
 オキテスは売り場を見て廻る。話し合った彼は、浜頭を呼びに詰所の方へ出向いた。
 オキテスの待った時間は、つかの間であった。スダヌスが小走りで駆けてくる。
 『お~お、オキテス殿、道中、風、強かったでしょう。ようこそ、ようこそ。今日のこの風、午後にはおさまりますよ、帰りは心配いりません。挨拶が長くなりました、ご用件は?今日の会議の件ですかな?今もハニタスと話し合ってきたところですわ。ガリダからの用材の事ですが、考えていたより安くあがりそうですな。あ~あ、用件、用件を伺います』
 『浜頭、統領が明後日、ここへ来ると言っています。浜頭の都合はどうかと思い、その打ち合わせです』
 『それはそれは、統領がここへ来られると、何かむつかしい用件かな?』
 『用件については聞いてはいない。むつかしい用件ではないはずです』
 『体はあいています、ここにいますが。言ってくだされば、私がニューキドニアに出向いたのに、何か急ぎの用件でもできたのかな?』
 『いや、私の察するところでは、むつかしい用件でもなけえれば、急用でもない。ただ、顔を見て、話し合いたいことができたといったところだと考えています。話し合える小部屋でもあれば、いいといったところです。軽い気持ちで会っていただければ、それでいいのです』
 『判りました。喜んでお待ちいたします。イリオネス殿も一緒かな?』
 『それはどうかな?決めてはいないと思います』