ニューキドニアに帰って来たセレストスは、イリオネス軍団長に事の次第を報告し、オロンテスから預かって来た木札を渡して、プロジエクト始終を終えた。
『おう、セレストス、ご苦労であった。お前ら奮闘したな、大変だったろう。一言半句のねぎらいだが、統領と俺の感謝の気持ちの大きさを察してくれ。本当にご苦労であった。この木札を見れば、やった仕事の大きさが察しられる』
セレストスは軍団長の感謝の意を受け取った。
パン売り場に戻ったオロンテスは、堅パンプロジエクトの終了感に浸っていた。想い描いていたゴールを難なく突き切って決着した。安堵感を抱いた。
彼は担いでいた肩の荷を下ろした。疲労感はない、自分の立ち位置が自覚できた。自分を突き動かす意識であり、その認識であった。
『ネクスト!それは?』であった。『次は新艇5艇の完売か。これはちと手に余るな』首をかしげる、知恵か、度胸か、売る技倆か、我々が持っていない何かがある、彼は、それがなんであるかを思案した。
『その何かをスダヌスが持っている。ハニタスが持っている。そして、この集散所が持っている』彼はその解析の必要を痛切に感じた。それは、今の我々ではどうにもならないことであることは自覚できた。
これを避けて、事の成就は出来ないのではと、スタートラインに立った彼の考えの及ぶところであった。
売り場にハニタスが姿を見せた。
『お~お、オロンテス殿』
『あ~っ!ハニタス殿』
『いかがされていますかな?』
『何か?私に用事でも』
『オロンテス殿、価格決め会議の日を決めました』
『ほう、いつでしょう?』
『明後日、昼からと決めました』
『判りました。オキテスにもそのことを私から伝えます』
『お願いします。スダヌス浜頭にも連絡してきます』
『お世話様です』
『あっ!そうそう、試乗会の申し込みがありました。伝えておきます。5日後ですケラマキの漁業関係者たちです。いいですかな』
『いいですとも、喜んで、準備して待ちます』
『宜しく願います』と言い残して、ハニタスは、スダヌスの売り場へと足を運んでいった。
一事を終えて、次の仕事へのスタートラインに立ったオロンテスにキックオフの時が訪れた。彼は立ちあがる、売り場を見廻す、スタッフ連の客対応、動きを見る、組織の中の己のポジションを意識する、蹴る!蹴るものは、それは考えられる諸々の事案である。 彼は蹴るものとその方向を決めた。心の中のトリガーに指をかけた、引いた。
彼は、売り場のスタッフの一人に声をかけた。
『おう、船だまりまで出かけてくる』オロンテスは歩き始めた。
船だまりの埠頭に立った。テカリオンの船の姿はない、思わず沖に目をやる、船影を探す、身当たるはずのないものを探し求めた。
係留している船に目を移した。ヘルメスに目を止める、彼に呼びかける声を耳にした。声のする方向に目をやる。
『おう、ギアス、試乗会の予約が入った』
『ほう、それは、いつです?』
『おう、セレストス、ご苦労であった。お前ら奮闘したな、大変だったろう。一言半句のねぎらいだが、統領と俺の感謝の気持ちの大きさを察してくれ。本当にご苦労であった。この木札を見れば、やった仕事の大きさが察しられる』
セレストスは軍団長の感謝の意を受け取った。
パン売り場に戻ったオロンテスは、堅パンプロジエクトの終了感に浸っていた。想い描いていたゴールを難なく突き切って決着した。安堵感を抱いた。
彼は担いでいた肩の荷を下ろした。疲労感はない、自分の立ち位置が自覚できた。自分を突き動かす意識であり、その認識であった。
『ネクスト!それは?』であった。『次は新艇5艇の完売か。これはちと手に余るな』首をかしげる、知恵か、度胸か、売る技倆か、我々が持っていない何かがある、彼は、それがなんであるかを思案した。
『その何かをスダヌスが持っている。ハニタスが持っている。そして、この集散所が持っている』彼はその解析の必要を痛切に感じた。それは、今の我々ではどうにもならないことであることは自覚できた。
これを避けて、事の成就は出来ないのではと、スタートラインに立った彼の考えの及ぶところであった。
売り場にハニタスが姿を見せた。
『お~お、オロンテス殿』
『あ~っ!ハニタス殿』
『いかがされていますかな?』
『何か?私に用事でも』
『オロンテス殿、価格決め会議の日を決めました』
『ほう、いつでしょう?』
『明後日、昼からと決めました』
『判りました。オキテスにもそのことを私から伝えます』
『お願いします。スダヌス浜頭にも連絡してきます』
『お世話様です』
『あっ!そうそう、試乗会の申し込みがありました。伝えておきます。5日後ですケラマキの漁業関係者たちです。いいですかな』
『いいですとも、喜んで、準備して待ちます』
『宜しく願います』と言い残して、ハニタスは、スダヌスの売り場へと足を運んでいった。
一事を終えて、次の仕事へのスタートラインに立ったオロンテスにキックオフの時が訪れた。彼は立ちあがる、売り場を見廻す、スタッフ連の客対応、動きを見る、組織の中の己のポジションを意識する、蹴る!蹴るものは、それは考えられる諸々の事案である。 彼は蹴るものとその方向を決めた。心の中のトリガーに指をかけた、引いた。
彼は、売り場のスタッフの一人に声をかけた。
『おう、船だまりまで出かけてくる』オロンテスは歩き始めた。
船だまりの埠頭に立った。テカリオンの船の姿はない、思わず沖に目をやる、船影を探す、身当たるはずのないものを探し求めた。
係留している船に目を移した。ヘルメスに目を止める、彼に呼びかける声を耳にした。声のする方向に目をやる。
『おう、ギアス、試乗会の予約が入った』
『ほう、それは、いつです?』