『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  754

2016-04-07 05:42:25 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 日が改まる。
 パリヌルスら三人は、三様の話し合いに関する案件構想のまとめ作業をしている。
 パリヌルスは、まず、木板に新艇の姿を描く、それを終えて、新しい木板に新艇の主要諸元の仕様項目を書き付けた。
 オキテスは、先日、算出した原価を書き付けた木板を眺めて黙考している、彼は、この件に関するアヱネアスとイリオネスの意向を推量した。
 オロンテスは、明後日に受け取る銀貨に想いを馳せる、そのうえで、これからの展開を構想した。
 軍団長の宿舎に集合する時が迫ってくる、彼ら三人にシンクロナスな時が働きかける、三人は、各自がいる場所で立ちあがる、一歩を踏み出す、歩き始める、軍団長の宿舎へと向かった。
 三人がイリオネスの宿舎の前で顔を合わせる、『おう!』『おう!』『おう!』呼応を交わした。
 イリオネスが戸口に姿を見せる、三人に声をかける。
 『おう、三人!そろっているな。今日の会議は、統領の宿舎の前庭だ。いつもの場でやる。行くぞ!』
 四人が歩き出す、薄雲が強い陽射しを和らげている、四人とも数枚の木板を小脇に抱えていた。
 アヱネアスはというと、宿舎の前庭の定位置に腰をおろして、メンバーのそろうのを待っていた。
 『統領、おはようございます。待たれましたか?』
 三人がイリオネスの声掛けに唱和する。
 『おう、おはよう、そうでもない。一同、腰をおろせ』
 アヱネアスは、大きく腕を広げて、一同に座をすすめる、それを見届けて話をつづけた。
 『ここ三~四日の君らの行動について軍団長から報告を受けている。ご苦労!新艇価格決定の件、大詰めにさしかかったと聞いている。また、保管していた大量の木札も整理されて、ドラクマ銀貨に交換されることも聞いている。君らの日頃の心を尽くしての働きに礼を言う。ご苦労とありがとうを重ねて言う!軍団長、話し合いを始めよう。時は人を待たない。議事の順は出来ているな』
 『はい、出来ています』
 イリオネスが答える、アヱネアスと目を合わせてうなずく、続けて、三人と目を合わせて口を開いた。
 『諸君、統領の言葉にあるように、この三~四日、君らは多忙であったな。俺からも礼を言う。ご苦労であった!物事を整え終える、体制を改めて整えてスタートする。そのスタートラインに我々が立っている。目標を定めてスタートしよう。脚下照顧、確かな一歩を前へだ』
 アヱネアスとともに、一同がイリオネスと目を合わせた。