『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  767

2016-04-26 05:58:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 各建造の場に準備されている自前作りのモノサシといえば、ロープでできており、1キュビットごとに結び玉が作られていた。このロープを用いて二人は額に汗して採寸作業を行った。
 パリヌルスが採寸箇所を指示する、ドックスが結び玉ロープで採寸箇所のの寸法を測る。パリヌルスがドックスの告げる数値を木板に書き入れた。
 『ドックス、採寸必要箇所の採寸は終わったな。これからあとは、話し合いながら書き込む。こちらに来て座れ』
 『解りました』
 ドックスは作業している者たちに採寸作業が終わったことを告げ、パリヌルスに向かい合って座った。
 『パリヌルス隊長、これはいい思い付きですな。これを見れば、新艇がどんな船なのかが、直ちに理解できる。客にとってありがたい資料ですな。今、使っている船と比べて、どこがどう違うかがすぐに理解することができる。実物を見なくともどんな船かということが解ります』
 『お前もそのように思うか。俺の考えもお前が今言ったように考えている。だがだ、気にかかることもある。まあ~、仕事を終えてから考えようと思っている。ドックス、仕事だ、仕事を続ける。俺の聴くことに答えてくれ』
 『はい、聴いてください』
 『確認する、俺の質問に答えてくれ』
 パリヌルスは、採寸結果について確認質問をした。
 『次!帆柱の本数は?』
 『2本です』
 『帆柱高さは?』
 『20キュビット(9メートル)です』
 『漕ぎ座の数は?』
 『左右両舷合わせて、20座です』
 『乗船できる総人数は何人?』
 『それは、まだ決めていません』
 『それについては、俺は35人くらいが適当と考えている』
 『言われることが解ります。それくらいが言われる通り適当な人数です。40人は無理です。これを目安に積み荷する積載適量といえます。その線で行きましょう』
 『帆柱は2本、展帆総枚数4枚』
 『間違いありません』
 『ドックス、吃水は、どれくらいと考えている?』
 『はい、私は、1キュビットを超えると考えています。進水の時に確認するということでいきます』
 『よしっ!以上で仕様書き作業完了!ドックス、ご苦労であった』
 パリヌルスは、オキテスに渡す新艇の姿形図と仕様を新しい木板に書いて作った。
 オキテスが姿を見せる。
 『おう、パリヌルス、仕様書きの作業が終わったのか?』
 『ドックスの準備がよくできていたので予定より早く終わった。この姿形図と仕様書きは、お前に渡す分だ』
 パリヌルスは作成した新艇の姿形図2枚と仕様書き2枚をオキテスに渡した。
 『おう、ありがとう。この2枚では、集散所方に渡して、スダヌスに渡せば俺の分がなくなる』
 『そうか明日中に作る。ドックス、木板の作り置きがあるかな?』
 『いえ、ありません。作ります』
 『では、こうしてくれ。とりあえず10枚作ってくれ。そのあとに10枚ほど木板を作っておいてくれ』
 『解りました』
 『この木板に、この仕様書きをを書き写せ。これはお前の分だ』
 『ありがとうございます』