オキテスは目覚めた。宿舎から外へ出る、空を仰ぎみる、満天に星を見る、浜へと坂道をたどる、波打ち際に立つ、薄明のかなたに目を移す、東の水平線が薄く明るんでいる朝未だきの頃である。
あたりに人の姿は見ない、彼は、海に身を浸していく、誰もいない、俺一人の朝行事、一つ、また、一つ、水平線近くの星が光を消していく。
薄明りの浜に人の気配を感じる、その方向に目線を移す、波打ち際に人の影を見とめた。誰であるかを感じ取ったオキテスは声をかけた。
『おう、ドックス、えらく早いじゃないか』
『あっ!おはようございます。隊長も早いではないですか。近頃、夜がめっきり短くなりました』
ドックスが、水をかき分けながら、オキテスのいる海の深みに身を運んでくる、肩まで海に身を浸している二人の目が合った。
『昨夕、隊長が言われた、進水のことがえらく気にかかり、早い目覚めです』
『ドックス、何がそんなに気にかかる?』
『船は、水に浮かべて、そのバランスが命です。バランスを気にかけながら、艤装造作をやる。やってみなければ解らないことが多々あります、これから完成まで気の休まることがありません。帆柱を立てる、新しい試みの帆装です。全体像が気にかかります。それともう一つ、大変気にかけていることがあるのです。詳しいことは打ち合わせの時に話します』
『そうだな、解る解る!気にかけることが確かに多い。ドックス、お前がいる、パリヌルスがいる、俺がいる、新しい作業の仕組みを考えた統領、補佐をする軍団長の存在もある。先々の心配はいらん!お前がいるからこそ、いい船だ出来ていく。そちらの安心こそがでっかい』
『期待には背かない気概で新艇建造に携わっています』
『おい、長い時間、海に浸っている。寒さを感じる、あがるぞ!』
二人は浜にあがった。
『ドックス、いくぞ!』
二人は建造の場へと歩み始めた。
オキテスが昨夕に書き記した木板、そして、新しい木板を間において対座した。
『おう、ドックス、進水の儀式をやる、その事情は、5艇同時完成を目論でいることにある。俺の考えでは関係筋の人にも式に参列してもらうことを考えている』
『ほう、そうですか。大々的に我々の事業を他人に知らせることと考えてよろしいのですな』
『そうだ。俺はそのようにしようと考えている』
『いいですね!それにスタンスして進水の式をやればいいのですね』
あたりに人の姿は見ない、彼は、海に身を浸していく、誰もいない、俺一人の朝行事、一つ、また、一つ、水平線近くの星が光を消していく。
薄明りの浜に人の気配を感じる、その方向に目線を移す、波打ち際に人の影を見とめた。誰であるかを感じ取ったオキテスは声をかけた。
『おう、ドックス、えらく早いじゃないか』
『あっ!おはようございます。隊長も早いではないですか。近頃、夜がめっきり短くなりました』
ドックスが、水をかき分けながら、オキテスのいる海の深みに身を運んでくる、肩まで海に身を浸している二人の目が合った。
『昨夕、隊長が言われた、進水のことがえらく気にかかり、早い目覚めです』
『ドックス、何がそんなに気にかかる?』
『船は、水に浮かべて、そのバランスが命です。バランスを気にかけながら、艤装造作をやる。やってみなければ解らないことが多々あります、これから完成まで気の休まることがありません。帆柱を立てる、新しい試みの帆装です。全体像が気にかかります。それともう一つ、大変気にかけていることがあるのです。詳しいことは打ち合わせの時に話します』
『そうだな、解る解る!気にかけることが確かに多い。ドックス、お前がいる、パリヌルスがいる、俺がいる、新しい作業の仕組みを考えた統領、補佐をする軍団長の存在もある。先々の心配はいらん!お前がいるからこそ、いい船だ出来ていく。そちらの安心こそがでっかい』
『期待には背かない気概で新艇建造に携わっています』
『おい、長い時間、海に浸っている。寒さを感じる、あがるぞ!』
二人は浜にあがった。
『ドックス、いくぞ!』
二人は建造の場へと歩み始めた。
オキテスが昨夕に書き記した木板、そして、新しい木板を間において対座した。
『おう、ドックス、進水の儀式をやる、その事情は、5艇同時完成を目論でいることにある。俺の考えでは関係筋の人にも式に参列してもらうことを考えている』
『ほう、そうですか。大々的に我々の事業を他人に知らせることと考えてよろしいのですな』
『そうだ。俺はそのようにしようと考えている』
『いいですね!それにスタンスして進水の式をやればいいのですね』