『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  755

2016-04-08 09:08:06 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 一同の眼差しが合致する、堅く固まる総員の意志、意志の塊が熱を帯びてくる、灼熱してくる意志の塊。
 イリオネスが言葉を吐く。
 『では!』と一拍の間を取って、一同と目線を交わす。
 『話し合いを始める。今日の会議の案件は、3件、それを終えて君らからの提案について話し合う。いいな』
 イリオネスは、そのように言って、手にしてきた木板を一同の目の前に提示した。
 『はい!解りました』
 三人が答える。
 木板には、話し合う案件が三件書かれている。一番上には新艇価格、二番目に銀貨の受け取り、三番目には新艇建造用材の決済である。
 イリオネスは、案件の説明をする。
 『話し合いは、ここに列挙した案件の順にこだわらない、まず、二番目に書いてある木札の銀貨に交換について一同に話す。我々が事業を通じて、長い日にちをかけて蓄えてきた木札を新艇建造を機にドラクマ銀貨に交換することにした。これについては君らが知っているように、オロンテスが交換交渉に当たり、整理勘定および集散所への搬入には、パリヌルスが責任担当して、その業務は昨日完了した。なお、交換される銀貨の受け取りは、明後日である、オロンテスがこの任に当たる』
 そのようにイリオネスは告げた。話が続く。
 『交換されて受け取る銀貨の総額について説明する。オロンテス担当のパン事業の関連の木札枚数が<63500枚>、アレテス担当の魚事業関連の木札枚数が<87000枚>、木札総数が<150500枚>である。木札とドラクマ銀貨との交換比率は木札100枚に対してドラクマ銀貨1個である。受け取る銀貨の個数が<1505個>である。銀貨1個が2ドラクマであるから、金額にすれば<3010ドラクマ>ということになる』
 ここまで話したイリオネスは、一同の目を見て理解しているかどうかを探った。
 『諸君!解ったかな。こういった金勘定は、君たちは慣れているかとは言えないが、どうだな、理解したか?』
 『はい!解りました。軍団長の丁寧な説明で、よ~く、理解することができました』
 三人が口をそろえて返答する。イリオネスは話を次へと進める。
 『そのようなわけだ。解ったな。そこでだが新艇の建造用材のガリダ方への支払いの決済をしようと考えている』
 そのように言って、イリオネスはアヱネアスの方に顔を向けた。
 『統領、新艇建造用材の決済の件ですが、段取りしてよろしいですか?』
 『おう、いいだろう』
 『この件は、オロンテス、お前に担当してやってもらう。明後日、銀貨受け取りの時に集散所の担当と打ち合わせてくれ』
 彼は、命令としてオロンテスに言い渡した。