『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1197

2018-01-09 08:21:26 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『そうか、そうですか。それは安心です。解りました』
 エドモン浜頭の目に穏やかさが戻る、話を続ける。
 『二つ目の懸念は、売り渡しの価格のことです。新艇のほうの価格は解っているとリドラス担当が言っていましたが、戦闘艇の価格がまだ決まっていないそうですな』
 『はい、そうです』
 『売り渡し価格、それは購入意思決定の要となります。買う買わないは価格の妥当性にあります。いつ頃に決まりますかな?』
 『はい、只今の価格の件ですが、私らが帰り次第、原価計算を行い、関係処方と話し合い決定の上、連絡いたします』
 『価格の決定の具体的な日程が予定されているようなら、聞かせていただければよろしいですな』
 『はい、今日が集散所暦で8月7日です。いかなる事情があろうとも8月15日までには、決定の上集散所を通じて連絡いたします』
 『了解いたしました。クランドス浜頭、リンドス浜頭も、これを早く知りたいと言っています。テムノス浜頭も私も、この船の販売に関して、骨身を惜しむことなく力を貸します。約束します。イリオネス殿!』
 『ありがとうございます。ただいまのところ、なんとお礼を申し上げていいか思い浮かびません。何卒よろしく願い申し上げます。なお、先ほど伺いました、艇の頑丈さについては、再度確認の上、明確にいたします』
 『丁寧な返事をいただきかたじけない。ところでイリオネス殿、相談したいといわれていた案件について伺いましょうか』
 『ありがとうございます。皆さんが知っていられるように私らはこのクレタについて深く知ることなく、船舶の建造という事業を起こした以上、事業に失敗することなくこの事業を継続していかねばなりません。この点について、両浜頭から知恵をいただければと考えています。それが懸念であり課題です。いただく話を業務運営の垂訓として業務を遂行していきたいと考えています。よろしく願います』
 イリオネスは、ここまで一気に述べて両浜頭と目を合わせる。
 『解りました、いいでしょう。聞きたいことを順を追って話してください。その一つ一つについて答えていきます。明確に言えること、また、不確かな答えしかできないものもあると考えられるがよろしいかな』
 『はい、それで結構です。よろしく願います』
 イリオネスが姿勢を改める、案件を話し始める。
 『1番目は、テムノス浜頭にたずねますが、浜頭には、新艇を買っていただきました。ありがとうございます。その新艇の価格についてですが、テムノス浜頭方に納入した新艇の価格は妥当であったかどうか、いかがでしたでしょうか?ですが』
 『ほう、そのことか。価格は妥当であったと考えている。添付品のことを考えると、いい買い物をしたと思っている』
 『ありがとうございます』
 イリオネスが礼を述べた。