『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1206

2018-01-22 07:51:32 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、いいか、一同!次の目的地は、レテムノンの港だ、いいな。一同、長距離漕走ピッチで櫂操作だ!いいな!』
 『おうっ!』
 今様時間にして午前10時頃にイラクリオンの浜をあとにした。
 彼らが乗っている二艇が優れているのは、長距離対応の漕走ピッチの漕ぎで時間あたりの航走距離が約二割弱伸びている、いい結果を得ていることである。艇の構造、使用している櫂の仕様、構造によるシナジー効果の結果である。
 イリオネスがギアスに声をかける。
 『ギアス、風の具合は、どんな具合だ?漕ぎかたらの省力になりそうか?』
 『風は期待できません。感じる風は北西からのそよ風です』
 『ほう、そうか』
 テムノス浜頭が声をかけてくる。
 『この海域ではだな、離岸距離が遠いと西からの風が、この季節だと少々強い、これくらいの離岸距離が、この季節、この頃合いに西に向かう時の条件だ。今日はこれで良しとして航走することだ。今日は順風を期待しても吹いて来はしない。俺も櫂を握る。船足が少々遅くなってもいいではないか。風景を楽しみながら漕いでいこう。ところで、この船の操舵をやってみたいのだが』
 『解りました。即、手配いたします』
 ギアスが操舵のカイクスに声をかける。操舵の交替を指示する、テムノス浜頭が操舵棒を握る。
 『ギアス艇長、ジグザグ走行をやってみたいが、よろしいかな?』
 『はいっ!どうぞ』とギアスが答える、テムノス浜頭がジグザグ操舵で艇を操船する、艇は左右に舳先を振って波を割る。
 テムノス浜頭が艇の走行を身に感じとっている、体感納得の表情がうかがえる。彼は、風景に目を移して操舵を続ける。
 イリオネスがテムノス浜頭の風情にまなざしを向けている、二人の目線が合う、テムノス浜頭のまなざしがイリオネスに語りかける、うなずくイリオネス。
 二人は、互いの心情をまなzっしで話し合う、二人は阿吽の交情領域に達している。
 イリオネスは、テムノス浜頭の意向を解する、了解をまなざしで伝える、テムノス浜頭のまなざしが感謝を伝える、イリオネスは承諾をまなざしで伝える。
 テムノス浜頭が操舵棒をカイクスに渡し操舵席を離れる、イリオネスのそばにくる、イリオネスは言葉短く承諾を伝える。
 『浜頭、了解しました。艇を預かって帰ります』
 『おう、よろしく頼む。イリオネス殿、櫂を握ろう!』
 『はい!』
 二人は櫂座に座す、櫂操作を始める。ギアスも櫂座について櫂を握る。
 ヘルメス艇は、帆柱の突端に結びつけている布きれを風の吹くまま、艇の進みに任せてなびかせていた。