帰途航海に就いた一行の二艇は、凪いでいる海の状態を利して、航走に逆らう風の吹かない間に航走してイラクリオンの浜を目指している。
漕ぎかたらは、律調を整えた櫂さばきで艇に海を割らせている。
エドモン浜頭がイリオネスに話しかけてくる。
『おう、イリオネス殿、艇の走りが順調ですな。漕ぎかたらの漕ぎの律調が整っている。いいことです。あなたの仕事の運びを見ていると物事を難なくこなしておられる、これは知恵のなせることですな。私は感じ入っています』
『浜頭にそのように言われると照れますな』
『私はですな、イリオネス殿、あなたの謙虚なもの言い、事の処し方に人徳とたぐいまれなる知力を感じています。この人の依頼ごとなら、やれることならやって差しあげたいと強く思います。マリアにおける船の事なら私ら二人に任せてくれれば、いいように計らいます』
『解りました。ありがとうございます。よろしく願います』
『あの戦闘艇ですが船としてよくできています。欲を言えばきりがない。マリアで言ったことだが、長い期間の使用に耐える頑丈さと価格のことだ。船を買ったものが『いい買い物をした!』と、長い年月、船に触れるたびに感慨を持つように心を遣ってほしい。この私もあの船を使うことを考えるかもだな』
『解りました。船を買い求めてくれる方が心から満足していただけるよう感動の価格と品質を第一に考えてことを処します』
『お~お、イリオネス殿、言ってくれるな!そっその通りだ』
エドモン浜頭が沿岸の風景を見る。
『早かったな!この船足なら考えていたより早くイラクリオンに着くな。重畳!』
『はいっ!』
二人の会話が終わる、浜頭が沿岸の風景に目を戻した。
イリオネスがギアスに声をかける。
『おう、ギアス、俺も櫂を握る。お前も櫂を握れ!』
『はいっ!』
二人が櫂座に就く、櫂を握る。
『お前ら少々休め、そして、次の者と代わる。いいな、そういうことだ』
『了解です』
二艇は凪いでいる海を順調に航走して、凪が終わり風立つころにイラクリオンの浜に着いた。
この航走を今様時間で測ると、約30キロ弱の海路を2時間余りで航走したことになる。この時代の海上交通の船速としては速い部類に属するといえる。
『おう、テムノス浜頭、この船、軽快という表現が当てはまるか否か別だが、この船、船足が速かった。考えていたより早く着いた。浜頭、今後よろしく頼む!』
『浜頭、マリアでの船の件、しかと心得ています』
テムノス浜頭が船を下りるエドモン浜頭を見送る。
『イリオネス殿、ありがとう。先ほど言ったようなわけだ、よろしくな!』
『はい、解りました。よろしく願います』
『道中を安全に、無事に航海をな』
『はい、ありがとうございます。では』
イラクリオンの浜でエドモン浜頭が艇を下りる。一行は少々休んで浜をあとにする。
ゴッカスが艇上の漕ぎかたらに声をかけた。
漕ぎかたらは、律調を整えた櫂さばきで艇に海を割らせている。
エドモン浜頭がイリオネスに話しかけてくる。
『おう、イリオネス殿、艇の走りが順調ですな。漕ぎかたらの漕ぎの律調が整っている。いいことです。あなたの仕事の運びを見ていると物事を難なくこなしておられる、これは知恵のなせることですな。私は感じ入っています』
『浜頭にそのように言われると照れますな』
『私はですな、イリオネス殿、あなたの謙虚なもの言い、事の処し方に人徳とたぐいまれなる知力を感じています。この人の依頼ごとなら、やれることならやって差しあげたいと強く思います。マリアにおける船の事なら私ら二人に任せてくれれば、いいように計らいます』
『解りました。ありがとうございます。よろしく願います』
『あの戦闘艇ですが船としてよくできています。欲を言えばきりがない。マリアで言ったことだが、長い期間の使用に耐える頑丈さと価格のことだ。船を買ったものが『いい買い物をした!』と、長い年月、船に触れるたびに感慨を持つように心を遣ってほしい。この私もあの船を使うことを考えるかもだな』
『解りました。船を買い求めてくれる方が心から満足していただけるよう感動の価格と品質を第一に考えてことを処します』
『お~お、イリオネス殿、言ってくれるな!そっその通りだ』
エドモン浜頭が沿岸の風景を見る。
『早かったな!この船足なら考えていたより早くイラクリオンに着くな。重畳!』
『はいっ!』
二人の会話が終わる、浜頭が沿岸の風景に目を戻した。
イリオネスがギアスに声をかける。
『おう、ギアス、俺も櫂を握る。お前も櫂を握れ!』
『はいっ!』
二人が櫂座に就く、櫂を握る。
『お前ら少々休め、そして、次の者と代わる。いいな、そういうことだ』
『了解です』
二艇は凪いでいる海を順調に航走して、凪が終わり風立つころにイラクリオンの浜に着いた。
この航走を今様時間で測ると、約30キロ弱の海路を2時間余りで航走したことになる。この時代の海上交通の船速としては速い部類に属するといえる。
『おう、テムノス浜頭、この船、軽快という表現が当てはまるか否か別だが、この船、船足が速かった。考えていたより早く着いた。浜頭、今後よろしく頼む!』
『浜頭、マリアでの船の件、しかと心得ています』
テムノス浜頭が船を下りるエドモン浜頭を見送る。
『イリオネス殿、ありがとう。先ほど言ったようなわけだ、よろしくな!』
『はい、解りました。よろしく願います』
『道中を安全に、無事に航海をな』
『はい、ありがとうございます。では』
イラクリオンの浜でエドモン浜頭が艇を下りる。一行は少々休んで浜をあとにする。
ゴッカスが艇上の漕ぎかたらに声をかけた。