イリオネスのうなずきに目をとめて、テムノス浜頭が話を継いでいく。
『イリオネス殿、この合理化した建造方法、販売政策で事業を進めていくとしたら、あれこれと傍目をふって建造をせずに中型の船舶に範囲を絞って建造をやっていかれたらどうかとエドモン浜頭と話し合った次第です。私ら二人は、そのように結論を出している。帰られたらこの件を検討してください。事業の方向づけをクレタにおける中型船の市場を掌握する。ここに事業の将来があるように考えられる。また、あなた方が行っている船の建造方法、販売政策は、あなた方以外に誰も為し得ないことだと考えられる。私ら二人は、いい方法でいい政策であると考えている。以上です』
エドモン浜頭が頭をかしげて納得しようとしているイリオネスの顔をのぞき込む。
イリオネスが口を開く。
『テムノス浜頭殿、言われることを充分に理解しました。まだ訪れていない未来を考えるということは難儀なことですね。今、言われたこと重く受けとめています。事業の方針を誤らないように充分に思考を尽くします。ありがとうございます』
イリオネスが懸念し課題としていた案件の話が終わる。
このあと五人は、帰途航海の計画と段取りを綿密に打ち合わせる。
イリオネスはオキテスに話しかける。
『オキテス、テムノス浜頭方に納入した新艇の件について話をしたか?』
『いえ、まだです』
『そうか、返事は、レテムノンに着くまでにもらえばいいということで話してくれ』
『解りました』
オキテスはテムノス浜頭に顔を向ける。
『あの~、テムノス浜頭殿、チョット話したいことがあるのですが、いいでしょうか?』
『おう、いい!話ってなんだ?聞こうか』
『浜頭方に納入致しました新艇の件です。新舵の構造効果を試すということで、当方のヘルメス艇に急遽、新舵構造を取り付けました。その結果、具合がとてもいいのです。納入いたしました新艇に新舵構造をと考えています。帰途途中に納入した新艇を預かって帰り、新舵構造を取り付けて届けようと考えています。その間、当方のヘルメス艇を使用してください。レテムノンの港に着くまでにどうするか返事をいただければ幸いです』
『おう、オキテス殿、そのようにサービスしてくれるのか、解った。考える』
『テムノス浜頭殿、私を呼ぶのに殿はつけないでください。オキテスと呼んでくだされば結構です』
『そうか、解った。オキテス』
イリオネスがエドモン浜頭に声をかける。
『エドモン浜頭殿、こちら話が終わりました』
『おう、そうか。イリオネス殿、集散所に挨拶に行こうか。ところで、今、頃合いは何どきですな?』
『はい、今、午後の中間どきを過ぎたところだと思われます』とスダヌスが答える。
『丁度、いい頃合いだな。イリオネス殿、行きましょうか』
『はい、わかりました』
一行五人は、腰をあげる、連れ立って集散所へと足を向けた。
『イリオネス殿、この合理化した建造方法、販売政策で事業を進めていくとしたら、あれこれと傍目をふって建造をせずに中型の船舶に範囲を絞って建造をやっていかれたらどうかとエドモン浜頭と話し合った次第です。私ら二人は、そのように結論を出している。帰られたらこの件を検討してください。事業の方向づけをクレタにおける中型船の市場を掌握する。ここに事業の将来があるように考えられる。また、あなた方が行っている船の建造方法、販売政策は、あなた方以外に誰も為し得ないことだと考えられる。私ら二人は、いい方法でいい政策であると考えている。以上です』
エドモン浜頭が頭をかしげて納得しようとしているイリオネスの顔をのぞき込む。
イリオネスが口を開く。
『テムノス浜頭殿、言われることを充分に理解しました。まだ訪れていない未来を考えるということは難儀なことですね。今、言われたこと重く受けとめています。事業の方針を誤らないように充分に思考を尽くします。ありがとうございます』
イリオネスが懸念し課題としていた案件の話が終わる。
このあと五人は、帰途航海の計画と段取りを綿密に打ち合わせる。
イリオネスはオキテスに話しかける。
『オキテス、テムノス浜頭方に納入した新艇の件について話をしたか?』
『いえ、まだです』
『そうか、返事は、レテムノンに着くまでにもらえばいいということで話してくれ』
『解りました』
オキテスはテムノス浜頭に顔を向ける。
『あの~、テムノス浜頭殿、チョット話したいことがあるのですが、いいでしょうか?』
『おう、いい!話ってなんだ?聞こうか』
『浜頭方に納入致しました新艇の件です。新舵の構造効果を試すということで、当方のヘルメス艇に急遽、新舵構造を取り付けました。その結果、具合がとてもいいのです。納入いたしました新艇に新舵構造をと考えています。帰途途中に納入した新艇を預かって帰り、新舵構造を取り付けて届けようと考えています。その間、当方のヘルメス艇を使用してください。レテムノンの港に着くまでにどうするか返事をいただければ幸いです』
『おう、オキテス殿、そのようにサービスしてくれるのか、解った。考える』
『テムノス浜頭殿、私を呼ぶのに殿はつけないでください。オキテスと呼んでくだされば結構です』
『そうか、解った。オキテス』
イリオネスがエドモン浜頭に声をかける。
『エドモン浜頭殿、こちら話が終わりました』
『おう、そうか。イリオネス殿、集散所に挨拶に行こうか。ところで、今、頃合いは何どきですな?』
『はい、今、午後の中間どきを過ぎたところだと思われます』とスダヌスが答える。
『丁度、いい頃合いだな。イリオネス殿、行きましょうか』
『はい、わかりました』
一行五人は、腰をあげる、連れ立って集散所へと足を向けた。
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