いわき市議会の2月定例会は本日まで常任委員会を開催していました。私が所属する文教経済常任委員会は、いわき市の部署でいうなら、商工観光部(いわき平競輪含む)、農林水産部(農業委員会含む)、教育委員会に関する議案と予算案を所管しています。この審議の中で印象に残ったことをいくつか・・。
農産物の風評被害の克服はすすんでいる印象
農林水産部では、継続して実施されてきた風評被害対策事業費について、その効果をただしました。いわき市の農林水産物は原発事故の影響で売れ行きが落ちるなど、風評による被害をこうむってきました。現在、出荷される農産物は検査をされて、基準値を超えない野菜等が出荷されている状況、取引価格や出荷量を見れば、一定程度の効果は確認できると考えました。
答弁によると、取引価格は全国的な出荷状況や収穫量に左右されるので単純に比較できないということを前提にしながら、取引価格は震災前との比較ではネギが99%、トマト102%、イチゴ110%、梨は91%で、おおむね震災前に戻っており、また出荷量ではネギで112%、トマト96%、イチゴ7割、梨は震災前とほぼ同程度となっていました。ここには事業が風評被害の克服に一定程度貢献しているとみることができると思います。
同時に今後の課題としては、市内での生産量を考慮すると市内での消費をどう拡大するかが課題で、それだけに測定して問題のないものを食するというスタイルの確立が大切さだということを感じました。
体験型教育施設利用の交通費負担は今後検討
教育委員会では、新たに設置される体験型経済教育施設をめぐる利用時の保護者負担等の問題です。
この施設は小学5年生にスチューデント・シティー(生産と消費者の役割を体験)、中学2年生にファイナンス・パーク(一定条件下における生活を成立させる必要なコストの計算し、生活に必要なものの選択と意思決定をする力を養う)での体験学習を提供するもの。事前学習も含めて15時間程度の授業を行うことになっています。
この施設の利用は、学校においては遠足などと同じく位置づけられ、昨年2月定例会では、施設利用時の子どもたちの交通費(バス代など)は自己負担、施設の運営に必要なボランティアについては無償とする考え方が示されました。
問題意識を持っているのは、①子どもたちの交通費が自己負担となれば保護者の教育費負担を増やすことになる、②ボランティアには交通費等の支給をすることで息長く協力してもらえるのではないか――という2点です。
市教委はまず一点目については、体験型学習は総合学習の時間を活用することから、これまでその時間に行われていた事業がなくなり、そこでバス等を利用していればその分を経済教育施設の利用時のバス代にふりかえることができるので、新たな負担は生じない、という考えを示しました。なおその点については、「現実に負担が生じないかどうかを調査し、考えたい」と答えていました。
2点目については、必要なボランティアはまず保護者のボランティアを活用し、不足する人手を市民一般による市民ボランティアを組織し、協力いただくことにしています。
市民ボランティアは来年度の夏休み期間中に募集し、研修の上、2015(平成27)年度からお願いしたいとのことで、この部分の交通費は2015年度に向けて予算化を検討したいとしています。
問題は保護者ボランティアです。この場合、どこからも費用負担が発生しないとPTA会費からの援助という形で、結局保護者負担とされかねないという危惧がありました。市教委は、保護者ボランティアは学校の生徒・児童といっしょにバスで施設に来ることになるので、費用負担は発生しないと考えているとし、すでに実施している品川区の場合はほとんどそのような利用になっていると言っていました。
しかし、それでもバスを利用できない場合も想定されることから対応を求めましたが、これは実態を踏まえて検討したい、としました。
いずれの答弁も、実施されるとして2015年度のことであり2014年度は何の措置もないままですが、しっかりした対応を検討し、2015年度からの事業が展開されることを期待したいと思います。
さて委員会で質疑などを行った後、議案第31号「平成26年度いわき市一般会計予算」に行った討論は次の通りですが、採決の結果、賛成多数で可決とすべし、と決しました。
なお、議案は総体で一本となりますので、そのうちのごく一部分に反対でも、全体に反対という立場をとることになります。でも反対したからと言って、事業の全てに反対という立場ではないことをご理解ください。
また、委員会での採決は、あくまで委員会に付託された部分のみ取り出して採決しているので、全体にわたって反対していないということも付言しておきます。
さらにメモを見ながらの討論ですので、言葉遣いなどに多少の違いがあると思います。
討 論
私はただいま採決に付された議案第31号「平成26年度いわき市一般会計予算」について反対の立場から討論いたします。
反対する第1の理由は、利用料や使用料に消費税の増税分が転嫁され、増収になっているという点です。
そもそも消費税には問題があります。
一つに低所得者の負担が大きいという逆進性の問題です。政府はこの点を考慮して低所得者世帯や子育て世代に1人1万円から1万5000円を給付することにしていますが、これは逆に消費税がそもそも持っている逆進性という問題を政府が認識していることを示すものであり、その認識があるならば政府は消費税は廃止に向けて進むべきだと思います。
同時に、この給付措置は1回限りであり、一方消費税の増税効果は長く続くことから、焼け石に水だと怨嗟の声が市民の中に渦巻いている状況があります。
二つに、日本では大企業優遇のためにこの財源が使われている、という問題です。
消費税増税は社会保障の充実のためと導入されましたが、その後、介護保険など社会保障分野での国民負担が増やされたことなどから見ても、消費税が社会保障の充実に役立っていないことは明らかです。これは増税額と同等の法人税等の減税が行われており、税収総体として伸びていないことを示していると思います。
今回の増税にあたっても、消費税増税の一方で復興税法人税の前倒し減税など大企業中心の減税が行われており、この点からも大企業優遇のための増税であることは明らかです。
こうした問題がある消費税を、使用料・利用料に転化し、市民から徴収することが、予算案に含まれているわけです。この問題点は11月定例会でも討論した通り、市が消費税を納税しないことも合わせて考えれば、消費税の転嫁分は事実上の値上げとなっており、市民生活が復興の途上にあることを考えるならば、消費税を転嫁しないという選択が必要だったと考えます。
2つ目の理由は、学校給食の引き上げが含まれているという点です。
そもそも教育の一環として行われている給食は無料にすることが望ましいと考えており、その方向にこそ向かうことを望んでいます。
今回の値上げは食材費の値上げと消費税率の引き上げに伴うもので、改定にあたっては必要最小限の消費税増税分のみに抑制することとしておりました。その点は了解できる点であります。
しかし、今回の改定は、市長が子育て支援と教育の充実を政策の一つの理念として掲げ、来年度予案に出産祝金をはじめ子育て支援策を提案し、また、幼児期、義務教育期をはじめとした全体の子育て支援について新たに設置される子育て支援室の中で検討しようということが答弁されている中で、このように保護者負担を増やす提案には、公約に逆行するものとして問題があると言わざるを得ません。
栃木県大田原市では、2012年・平成24年に委学校給食を無料化し、2013年に保護者にアンケートを行っています。
ここで注目されるのは、学校給食費を充てていたお金の使い途について、生活費の一部に充てたという回答が55%で過半数あり、同市の保護者の生活の厳しさをうかがわせていることと同時に、「習い事や部活動費用に充てている」という回答が35%になっている点でした。アンケートのまとめでは、児童生徒の教育を受ける機会を増加させたとしていました。こうしたことも合わせて考えると、今回の給食費の値上げは教育に格差を広げることにつながりかねないのではないかとも類推される点で問題があります。
値上げの負担の総額は4200万円程度とされており、一般財源で充当することも考える必要があったと考えます。実際、県内の対応でも、例えば郡山市をはじめ19市町村が給食費消費税を転嫁せず、値上げをしないこととしており、このうち小野町は、給食への消費税の転嫁を見送り、その財源には町の一般財源をあてることにしている、と報道されています。本市でも同様の対応が必要だったと考えます。
以上のように予算案には問題がありますので、否決とすべきです。みなさんのご賛同をお願いして討論を終わります。
農産物の風評被害の克服はすすんでいる印象
農林水産部では、継続して実施されてきた風評被害対策事業費について、その効果をただしました。いわき市の農林水産物は原発事故の影響で売れ行きが落ちるなど、風評による被害をこうむってきました。現在、出荷される農産物は検査をされて、基準値を超えない野菜等が出荷されている状況、取引価格や出荷量を見れば、一定程度の効果は確認できると考えました。
答弁によると、取引価格は全国的な出荷状況や収穫量に左右されるので単純に比較できないということを前提にしながら、取引価格は震災前との比較ではネギが99%、トマト102%、イチゴ110%、梨は91%で、おおむね震災前に戻っており、また出荷量ではネギで112%、トマト96%、イチゴ7割、梨は震災前とほぼ同程度となっていました。ここには事業が風評被害の克服に一定程度貢献しているとみることができると思います。
同時に今後の課題としては、市内での生産量を考慮すると市内での消費をどう拡大するかが課題で、それだけに測定して問題のないものを食するというスタイルの確立が大切さだということを感じました。
体験型教育施設利用の交通費負担は今後検討
教育委員会では、新たに設置される体験型経済教育施設をめぐる利用時の保護者負担等の問題です。
この施設は小学5年生にスチューデント・シティー(生産と消費者の役割を体験)、中学2年生にファイナンス・パーク(一定条件下における生活を成立させる必要なコストの計算し、生活に必要なものの選択と意思決定をする力を養う)での体験学習を提供するもの。事前学習も含めて15時間程度の授業を行うことになっています。
この施設の利用は、学校においては遠足などと同じく位置づけられ、昨年2月定例会では、施設利用時の子どもたちの交通費(バス代など)は自己負担、施設の運営に必要なボランティアについては無償とする考え方が示されました。
問題意識を持っているのは、①子どもたちの交通費が自己負担となれば保護者の教育費負担を増やすことになる、②ボランティアには交通費等の支給をすることで息長く協力してもらえるのではないか――という2点です。
市教委はまず一点目については、体験型学習は総合学習の時間を活用することから、これまでその時間に行われていた事業がなくなり、そこでバス等を利用していればその分を経済教育施設の利用時のバス代にふりかえることができるので、新たな負担は生じない、という考えを示しました。なおその点については、「現実に負担が生じないかどうかを調査し、考えたい」と答えていました。
2点目については、必要なボランティアはまず保護者のボランティアを活用し、不足する人手を市民一般による市民ボランティアを組織し、協力いただくことにしています。
市民ボランティアは来年度の夏休み期間中に募集し、研修の上、2015(平成27)年度からお願いしたいとのことで、この部分の交通費は2015年度に向けて予算化を検討したいとしています。
問題は保護者ボランティアです。この場合、どこからも費用負担が発生しないとPTA会費からの援助という形で、結局保護者負担とされかねないという危惧がありました。市教委は、保護者ボランティアは学校の生徒・児童といっしょにバスで施設に来ることになるので、費用負担は発生しないと考えているとし、すでに実施している品川区の場合はほとんどそのような利用になっていると言っていました。
しかし、それでもバスを利用できない場合も想定されることから対応を求めましたが、これは実態を踏まえて検討したい、としました。
いずれの答弁も、実施されるとして2015年度のことであり2014年度は何の措置もないままですが、しっかりした対応を検討し、2015年度からの事業が展開されることを期待したいと思います。
さて委員会で質疑などを行った後、議案第31号「平成26年度いわき市一般会計予算」に行った討論は次の通りですが、採決の結果、賛成多数で可決とすべし、と決しました。
なお、議案は総体で一本となりますので、そのうちのごく一部分に反対でも、全体に反対という立場をとることになります。でも反対したからと言って、事業の全てに反対という立場ではないことをご理解ください。
また、委員会での採決は、あくまで委員会に付託された部分のみ取り出して採決しているので、全体にわたって反対していないということも付言しておきます。
さらにメモを見ながらの討論ですので、言葉遣いなどに多少の違いがあると思います。
討 論
私はただいま採決に付された議案第31号「平成26年度いわき市一般会計予算」について反対の立場から討論いたします。
反対する第1の理由は、利用料や使用料に消費税の増税分が転嫁され、増収になっているという点です。
そもそも消費税には問題があります。
一つに低所得者の負担が大きいという逆進性の問題です。政府はこの点を考慮して低所得者世帯や子育て世代に1人1万円から1万5000円を給付することにしていますが、これは逆に消費税がそもそも持っている逆進性という問題を政府が認識していることを示すものであり、その認識があるならば政府は消費税は廃止に向けて進むべきだと思います。
同時に、この給付措置は1回限りであり、一方消費税の増税効果は長く続くことから、焼け石に水だと怨嗟の声が市民の中に渦巻いている状況があります。
二つに、日本では大企業優遇のためにこの財源が使われている、という問題です。
消費税増税は社会保障の充実のためと導入されましたが、その後、介護保険など社会保障分野での国民負担が増やされたことなどから見ても、消費税が社会保障の充実に役立っていないことは明らかです。これは増税額と同等の法人税等の減税が行われており、税収総体として伸びていないことを示していると思います。
今回の増税にあたっても、消費税増税の一方で復興税法人税の前倒し減税など大企業中心の減税が行われており、この点からも大企業優遇のための増税であることは明らかです。
こうした問題がある消費税を、使用料・利用料に転化し、市民から徴収することが、予算案に含まれているわけです。この問題点は11月定例会でも討論した通り、市が消費税を納税しないことも合わせて考えれば、消費税の転嫁分は事実上の値上げとなっており、市民生活が復興の途上にあることを考えるならば、消費税を転嫁しないという選択が必要だったと考えます。
2つ目の理由は、学校給食の引き上げが含まれているという点です。
そもそも教育の一環として行われている給食は無料にすることが望ましいと考えており、その方向にこそ向かうことを望んでいます。
今回の値上げは食材費の値上げと消費税率の引き上げに伴うもので、改定にあたっては必要最小限の消費税増税分のみに抑制することとしておりました。その点は了解できる点であります。
しかし、今回の改定は、市長が子育て支援と教育の充実を政策の一つの理念として掲げ、来年度予案に出産祝金をはじめ子育て支援策を提案し、また、幼児期、義務教育期をはじめとした全体の子育て支援について新たに設置される子育て支援室の中で検討しようということが答弁されている中で、このように保護者負担を増やす提案には、公約に逆行するものとして問題があると言わざるを得ません。
栃木県大田原市では、2012年・平成24年に委学校給食を無料化し、2013年に保護者にアンケートを行っています。
ここで注目されるのは、学校給食費を充てていたお金の使い途について、生活費の一部に充てたという回答が55%で過半数あり、同市の保護者の生活の厳しさをうかがわせていることと同時に、「習い事や部活動費用に充てている」という回答が35%になっている点でした。アンケートのまとめでは、児童生徒の教育を受ける機会を増加させたとしていました。こうしたことも合わせて考えると、今回の給食費の値上げは教育に格差を広げることにつながりかねないのではないかとも類推される点で問題があります。
値上げの負担の総額は4200万円程度とされており、一般財源で充当することも考える必要があったと考えます。実際、県内の対応でも、例えば郡山市をはじめ19市町村が給食費消費税を転嫁せず、値上げをしないこととしており、このうち小野町は、給食への消費税の転嫁を見送り、その財源には町の一般財源をあてることにしている、と報道されています。本市でも同様の対応が必要だったと考えます。
以上のように予算案には問題がありますので、否決とすべきです。みなさんのご賛同をお願いして討論を終わります。
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