伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

住宅除染も住民目線の対応が国に求められているのでは

2015年08月04日 | 原発・エネルギー
 市内ですすむ住宅除染に関して批判の声が聞こえるようになりました。

本市では、原発事故直後に文科省が上空から測定した放射線量で毎時0.23μSv以上(基準値)の地域は除染実施区域とされ、汚染の大きかった地域から住宅除染をすすめています。

 東京電力福島第一原発から30Km範囲の地区を含む、市内でも比較的汚染が大きかった久ノ浜・大久、川前地区を皮切りに小川、四倉、平、好間地区で実施。今年度は、遠野地区等で事前モニタリングの作業をすすめています。

 昨年、平などで住宅除染にすすもうとする時の説明では、事前モニタリングでは地表から1㎝と1mで測定し、そのどこかで基準値を超えれば除染をすると受け止められてきました。

 しかし実際には、1mで基準値を超えた場合だけに除染されており、話が違うという市民の声が聞こえていました。

 また、ある方は除染の説明会が開かれた際に、1㎝での測定で基準値以上となった場合に除染をするのか確認したら「する」と答えていた、と市の対応に戸惑いを深めていました。

 私自身も、説明をされた際に、「1㎝でもするの」と聞いたら「そうしないと除染範囲が狭まってしまうので」という趣旨で回答されたような記憶があります。だからこそ1㎝の測定値が基準を超えれば除染をするものとばかり思っていましたし、どこかではそのように説明をした場面もあると思います。

 正直、そういう対応がされていないことを知った時には、何でそうなっているのか、疑問を深めるばかりでした。そこで担当課でその事情を聴いてきました。

 担当課の話では、そもそも環境省の基準は1mでの測定で基準値以上の場合が除染の対象(すなわち国として財政負担をする)で、1㎝での測定は「地表面などの表面線量率を測定することにより、その範囲の程度を特定」するために実施していると説明しています。

 当初の説明が本当はどうだったのか分かりません。少なくとも誤解をされたことは明らかなので、その辺はよく説明することが必要でしょう。

 ただこの対応もどうかと思う部分はあります。

 仮に1㎝の測定で基準値以上が計測され、1mでは基準値内となった場合、その住宅は除染されないということになります。そのことを知った住民がどう思うのか。線量が高いのに放置された、と不安を残すことになります。

 本来、このいわき市で暮らすことの不安を解消し、安全性を高めるために行われる除染であるにもかかわらず、逆に不安を高める事業効果を持ってしまうことになるわけです。


ちなみにこれが我が家の事前測定の結果。1mの測定値だけが通知されている。自宅にいない時の測定だけに1cmの測定値は分からないが、もし自宅にいた時の測定で、1cmが基準値以上であれば、住民はどう思うのだろうか。

 この原因にも、地面から1mの測定値だけを判断基準とする国の考えがあります。住民目線から考えれば、〝基準値を超える部分は除染〟が当然なのですが、国の基準ではそうならないのです。

 環境省・国は、測定は1㎝、50㎝、1mで実施することを認めているといいます。それならば、それぞれの測定値で基準値以上が計測された場合は、部分的な除染も含め何らかの対応することが必要だと思います。

 市も口頭でそのことを求めてきたと言いますが、環境省・国は認めないといいます。そこにはおそらく除染実施範囲が広がることで、より以上の予算が必要になることを恐れる国の姿勢があるのだろうと思います。

 あらためて思うのは、除染の問題はもちろんですが、事故に関する情報公開、賠償など原発事故にかかわる問題について、国として被災地の住民の目線で物事を考え判断してほしいということです。被災地での生活の安心感、安全性は高めるためにもその実現を求めていきたいと思います。


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