きょう14日は、県立高校の合格発表ですね。合格が決まった人にも、中にはまだ決まっていない人も居るかもしれませんが、新しいステージでがんばってほしいと思います。
さて昨日、3月13日は県内の公立中学校が一斉に卒業式を行いました。私もいわき市立上遠野中学校の卒業式に出席し、祝辞をさせていただきました。
今年の卒業生は、東日本大震災と原発事故の影響で混乱が続く中で小学校の卒業時期を迎え、結局、当たり前の卒業式をすることなく中学校に入学した生徒たちです。聞くと上遠野小学校の場合、4月6日の中学校入学式の直前に時間を作り、小学校の卒業証書を授与しただけで終わったとのことで、この中学校卒業式が義務教育9年間で唯一無二の卒業式という生徒達でした。
そんなこともあるものですから式の最後に保護者が「立派な卒業式にしてやりたかった」と言っていましたが、この言葉が実現して、卒業生に対する後輩たちの深い信頼を垣間見せてくれる立派な式でした。
式は滞りなく進みました。卒業生が卒業証書を授与され、校長先生の式辞、来賓のあいさつなどが続き、在校生代表で男子生徒が送辞に立ちました。卒業生との思い出を振り返っていましたがそのうちに涙声になり、時に言葉に詰まりながらもがんばって「先輩の残した伝統を守りたい」と決意で締めくくりました。
卒業生が答辞を返しました。
「小学校で卒業式をできず、こうして卒業式を迎えることが出来て胸がいっぱいです」と、恩師、在校生、父母、地域の人に感謝とお礼をのべ、「東日本大震災と原発事故があり、不安も苦しみもあったけど、切磋琢磨しながら、支えあって乗り越えてきた仲間と別れるのはつらい思いです。壁にぶつかっても上中で学んだことを思い出し、乗り越えていきたい」
この間に、卒業生、特に女子生徒は多くがハンカチを取り出して目をぬぐい始めました。そして式歌。卒業生が「仰げば尊し」、在校生が「蛍の光」、そして再び卒業生が後方の在校生と保護者に向きを変え~白い光の中に 山並みは燃えて~♪、と歌い出しました。最近よく聞く「旅立ちの日に」です。本当に良い歌だと思います。1番を歌い終え感想に入ると、女子生徒が涙で声を詰まらせながら「不安やつらいこともありました。支えてくれた在校生のみなさん、お父さん、お母さん、ありがとうございます。感謝を胸に今日卒業します」とやっと声を絞り出しました。
あふれる涙を拭いながら歌う卒業生。手には握りしめられたハンカチ
こうした情景を見ていると、こちらもこみ上げるものを感じるのですが、ここはぐっとがまんをして式を見守りました。式場にいた先生、保護者、来賓・・大人たちの思いはPTA会長が生徒たちに贈った祝辞の一言に凝縮されているでしょう。
「3年前、言えなかった思いを込めて、もう一度言います。卒業おめでとう」
私の祝辞は以下の通りです。
祝 辞
卒業式を迎えたみなさん、おめでとうございます。
みなさんがこの上遠野学校に入学した3年前は、東日本大震災と原発事故という未曾有の災害の中でした。みなさんは普通に行われる小学校の卒業式を体験できないまま、4月6日、この学校に入学しました。
その後、みなさんがこの上遠野中学校で過ごした3年間は、世界中の誰も体験したことがない、震災と原発事故という二重の災害からの復旧・復興という困難な事業に、社会が必死に取り組む時期と重なりました。みなさんの、中学校生活にも同じように、様々な困難がつきまとったと思います。みなさんはそれを乗り越える努力を重ね、学校生活を謳歌し、学業に、また、クラブ活動に打ち込んでこられ、九年間の義務教育の中で、初めて迎えた卒業式が、今日の卒業式となりました。
この卒業式に、中学生活3年間の思いをこめ、また義務教育九年間に思いこめて巣立っていただきたいと思いますし、その巣立ちを心から祝福したいと思います。そして、今日までみなさんを優しく励まし、時にきびしく指導してこられた校長先生をはじめ、教職員のみなさまの熱心な指導とご努力に、深く敬意を表したいと思います。
また、惜しみなく愛情を注いで子どもたちを見守り、学校生活を支えてこられたご両親・ご家族のお慶びもさぞかしと、改めてお祝い申し上げます。
卒業生のみなさんはが乗り越えられてきた困難は、何事にも代えがたいものに違いありません。
先日、ロシアのソチで行われた冬季オリンピックは、記憶に新しいところです。このオリンピックにおける各国の選手たちの活躍は、多くの人に感動をもたらしました。特に女子フィギアの浅田真央選手の姿を、記憶に刻まれた方が多いと思います。
彼女はみなさんと同じ年頃で、女子ではまれなトリプル・アクセルを武器に世界で活躍しました。その時の自分を理想として、大人になったがために、成功させることが難しくなったトリプル・アクセスに挑戦し続け、最後に演じたフリーで成功させて自己記録を更新し、誰をも感動させる素晴らしい演技を見せてくれました。自らが納得する演技をできた達成感に涙を浮かべる姿には美しさを感じました。困難への挑戦は、自らの成長の糧であることを、浅田選手は見せてくれたものと思います。
思い出多き中学校を巣立ち、それぞれの道へと旅立って行かれるみなさんの前には、喜びとともに常に困難がつきまとうことでしょう。負けずに挑戦していただきたいと思います。またこの3年間、仲間の中に培われた友情を大切にしていただきたいと思います。その友情は、困難を乗り越える力を与えてくれるに違いありません。
結びに「置かれた場所で咲きなさい」という言葉をご存知と思います。どんな境遇であれ、諦めたり腐ったりせずに、今自分の置かれた環境の中で精一杯咲きなさいという意味です。この言葉はこう続きます。
「どうしても咲けない時もあります。そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと下ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」
これからのみなさんの努力が、何よりも美しい花を咲かせることを願いまして、祝辞に代えたいと思います。
2014年3月13日
いわき市議会議員 伊藤浩之
さて昨日、3月13日は県内の公立中学校が一斉に卒業式を行いました。私もいわき市立上遠野中学校の卒業式に出席し、祝辞をさせていただきました。
今年の卒業生は、東日本大震災と原発事故の影響で混乱が続く中で小学校の卒業時期を迎え、結局、当たり前の卒業式をすることなく中学校に入学した生徒たちです。聞くと上遠野小学校の場合、4月6日の中学校入学式の直前に時間を作り、小学校の卒業証書を授与しただけで終わったとのことで、この中学校卒業式が義務教育9年間で唯一無二の卒業式という生徒達でした。
そんなこともあるものですから式の最後に保護者が「立派な卒業式にしてやりたかった」と言っていましたが、この言葉が実現して、卒業生に対する後輩たちの深い信頼を垣間見せてくれる立派な式でした。
式は滞りなく進みました。卒業生が卒業証書を授与され、校長先生の式辞、来賓のあいさつなどが続き、在校生代表で男子生徒が送辞に立ちました。卒業生との思い出を振り返っていましたがそのうちに涙声になり、時に言葉に詰まりながらもがんばって「先輩の残した伝統を守りたい」と決意で締めくくりました。
卒業生が答辞を返しました。
「小学校で卒業式をできず、こうして卒業式を迎えることが出来て胸がいっぱいです」と、恩師、在校生、父母、地域の人に感謝とお礼をのべ、「東日本大震災と原発事故があり、不安も苦しみもあったけど、切磋琢磨しながら、支えあって乗り越えてきた仲間と別れるのはつらい思いです。壁にぶつかっても上中で学んだことを思い出し、乗り越えていきたい」
この間に、卒業生、特に女子生徒は多くがハンカチを取り出して目をぬぐい始めました。そして式歌。卒業生が「仰げば尊し」、在校生が「蛍の光」、そして再び卒業生が後方の在校生と保護者に向きを変え~白い光の中に 山並みは燃えて~♪、と歌い出しました。最近よく聞く「旅立ちの日に」です。本当に良い歌だと思います。1番を歌い終え感想に入ると、女子生徒が涙で声を詰まらせながら「不安やつらいこともありました。支えてくれた在校生のみなさん、お父さん、お母さん、ありがとうございます。感謝を胸に今日卒業します」とやっと声を絞り出しました。
あふれる涙を拭いながら歌う卒業生。手には握りしめられたハンカチ
こうした情景を見ていると、こちらもこみ上げるものを感じるのですが、ここはぐっとがまんをして式を見守りました。式場にいた先生、保護者、来賓・・大人たちの思いはPTA会長が生徒たちに贈った祝辞の一言に凝縮されているでしょう。
「3年前、言えなかった思いを込めて、もう一度言います。卒業おめでとう」
私の祝辞は以下の通りです。
祝 辞
卒業式を迎えたみなさん、おめでとうございます。
みなさんがこの上遠野学校に入学した3年前は、東日本大震災と原発事故という未曾有の災害の中でした。みなさんは普通に行われる小学校の卒業式を体験できないまま、4月6日、この学校に入学しました。
その後、みなさんがこの上遠野中学校で過ごした3年間は、世界中の誰も体験したことがない、震災と原発事故という二重の災害からの復旧・復興という困難な事業に、社会が必死に取り組む時期と重なりました。みなさんの、中学校生活にも同じように、様々な困難がつきまとったと思います。みなさんはそれを乗り越える努力を重ね、学校生活を謳歌し、学業に、また、クラブ活動に打ち込んでこられ、九年間の義務教育の中で、初めて迎えた卒業式が、今日の卒業式となりました。
この卒業式に、中学生活3年間の思いをこめ、また義務教育九年間に思いこめて巣立っていただきたいと思いますし、その巣立ちを心から祝福したいと思います。そして、今日までみなさんを優しく励まし、時にきびしく指導してこられた校長先生をはじめ、教職員のみなさまの熱心な指導とご努力に、深く敬意を表したいと思います。
また、惜しみなく愛情を注いで子どもたちを見守り、学校生活を支えてこられたご両親・ご家族のお慶びもさぞかしと、改めてお祝い申し上げます。
卒業生のみなさんはが乗り越えられてきた困難は、何事にも代えがたいものに違いありません。
先日、ロシアのソチで行われた冬季オリンピックは、記憶に新しいところです。このオリンピックにおける各国の選手たちの活躍は、多くの人に感動をもたらしました。特に女子フィギアの浅田真央選手の姿を、記憶に刻まれた方が多いと思います。
彼女はみなさんと同じ年頃で、女子ではまれなトリプル・アクセルを武器に世界で活躍しました。その時の自分を理想として、大人になったがために、成功させることが難しくなったトリプル・アクセスに挑戦し続け、最後に演じたフリーで成功させて自己記録を更新し、誰をも感動させる素晴らしい演技を見せてくれました。自らが納得する演技をできた達成感に涙を浮かべる姿には美しさを感じました。困難への挑戦は、自らの成長の糧であることを、浅田選手は見せてくれたものと思います。
思い出多き中学校を巣立ち、それぞれの道へと旅立って行かれるみなさんの前には、喜びとともに常に困難がつきまとうことでしょう。負けずに挑戦していただきたいと思います。またこの3年間、仲間の中に培われた友情を大切にしていただきたいと思います。その友情は、困難を乗り越える力を与えてくれるに違いありません。
結びに「置かれた場所で咲きなさい」という言葉をご存知と思います。どんな境遇であれ、諦めたり腐ったりせずに、今自分の置かれた環境の中で精一杯咲きなさいという意味です。この言葉はこう続きます。
「どうしても咲けない時もあります。そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと下ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために」
これからのみなさんの努力が、何よりも美しい花を咲かせることを願いまして、祝辞に代えたいと思います。
2014年3月13日
いわき市議会議員 伊藤浩之
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