<相模太郎のホームページより転載>
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貧困が肥満を生む~アメリカファーストフード地獄
堤未果著~「ルポ:貧困大国アメリカ」から~衝撃的だったアメリカの現実
「アメリカ人は何で肥満が多いの?」 「ハンバーガーばかり食ってるからだよ」・・・もっと栄養バランスの取れた食事をすればいいじゃないか、という意見したくなる人は、「つまりアメリカの現実を分かってない」ということになる。アメリカ人の肥満は、貧困と密接な関係があるのだ。
アメリカは貧富の格差が激しい。昔の感覚と言えば、腹が出るほど太った資本家が労働者を搾取する、正にそれだった。ところが今は、ホワイトカラーはフィットネスクラブで体を鍛えて颯爽とスーツを着こなし、貧乏人は肥満にあえぐ・・・。いったいどういうことだろうか。
堤未果氏の研究によると、貧富の格差から来る「健康格差」は、既に子供の頃から現れているという。貧困家庭の子供は「学校給食」に頼らざるを得ないが、公立学校給食に卸される食品は、ハンバーガーにピザ、フライドチキンにホッドッグ~いわいるファーストフードとジャンクフードのオンパレードだ。なにせ、何から何まで効率を優先するアメリカである。限られた予算でやりくりする為には、安価で、調理が簡単で、手っ取り早くカロリーを摂取できる食品が好まれる。
背後には、学校給食という巨大マーケットに巣食う大手ファーストフード業界の姿があった。子供を不健康にさせておいて、会社だけが丸儲け~これがアメリカの現実だというから驚く。
↑アメリカで起きているシビアな現実・・・
ファーストフード、ジャンクフードは給食だけではない。所得の低い大人がスーパーで日々の食材として購入する。安価だから、それに頼るしかないのだ。添加物にまみれ、カロリーだけあって、栄養価がない・・・そんな食生活を強いられる彼らは確実に「メタボ」予備軍だ。しかも体がおかしくなっても、医療費が高額なので病院にもかかれない・・・儲かるのは会社だけ・・・正にファーストフード地獄である。
2011年8月、アメリカでこんなニュースがあった。アメリカで肥満の子供が増大していることについて、ハーバード大学のデイビッド・ルドウィッグという博士が、「肥満児の親は親権を剥奪すべきだ」と発言したという。肥満治療のため、州が強制的に介入すべきだという。事態の深刻さを示すエピソードでもある。
沖縄に見る「アメリカナイズ」がもたらした貧困と肥満
沖縄のイメージというと、「長寿」 「健康な食生活」 とくるだろうが、当てはまらない事象が出て来た。戦後生まれの人々の平均寿命は本土より短いのだ。その理由は、アメリカ占領時代の悪しき遺産の性だ。食料不足を補うため、アメリカ性の安価な肉製品が大量に供給された。ランチョンミートという、塩分と油脂が多い缶詰が大量に供給され、その後の沖縄料理に欠かせないものとなってしまう。アメリカの食文化が押し寄せた沖縄~終戦直後の貧困が思わぬ 「高カロリー食」 を広めてしまった。
アメリカナイズされた「郊外文化」が、貧困→肥満の悪循環を生む?
クルマ偏重 ・ ファーストフード偏重 ・ 24時間営業による生活の乱れ ・ パートアルバイト労働の増加による所得減少 ・ 画一化による地域社会の崩壊 ・ 人々の意欲の喪失→その先には 「貧困と肥満」 が待っている。私たちは、こうしたアメリカ式郊外文化の 「リスク」 を理解し、上手に付き合っていかねばならない、と言える。
↑自分のこと調べてみる?