メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

絵本読み聞かせ(2025年2月)

2025-02-27 16:44:32 | 本と雑誌
絵本読み聞かせ  2025年2月27日
年少
ぴょーん(まつおか たつひで)
もじゃもじゃ(せな けいこ)
どのはないちばんすきなはな(いしげまりこ 文 わきさかかつじ 絵)
年中
てぶくろ(ウクライナ民話 エフゲニー・M・ラチョフ 絵 内田莉莎子 訳)
ぴょーん
どのはないちばんすきなはな
年長
ゆきむすめ(ロシアの昔話 内田莉莎子 再話 佐藤忠良 絵)
てぶくろ
ぴょーん

今日は暖かくなってしまったが、今年の2月全体としてはふさわしいプログラム。
「ぴょーん」はシンプルだけど、年齢に応じてつっこめるところがあり、話がひろがるところがいい。
「どのはないちばんすきなはな」はなんといっても色彩とかたちの鮮やかさで、年少組でもどの色が好きとかいろいろ反応が楽しい。他人とちがう好みをわざという子もいた。

そのほかは定番だが、今回「ゆきむすめ」で最後ゆきむすめはどこにいったんだろうねときいてみた。すると、雪で作ったんだから火でとけたんだろうという常識的な答えだったが、それでもああいう物語ができたをいうことは、頭のなかに残ってくれるだろう。

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サキ短編集

2025-02-16 15:25:50 | 本と雑誌
サキ短編集
   中村能三 訳  新潮文庫
イギリスの作家サキ(本名 ヘクター・ヒュー・マンロー 1870-1916) による短編集、名前はきいたことがあったが読むのははじめてで、このところ読んでいたチェホフ、マンスフィールドとはかなり違う感じである。
 
オー・ヘンリーと比較されることもあるようだがより「おち」できかせるというか、なかにはブラックなコント風のものもある。長さもほぼ同じでこれは意識したものだろう。
もうすこし心に響くものもあるかと思ったが、この時代、社会を反映してだろうか、作者の意図がよくわからないものが多い。
なかでは「宵闇」がおちの解釈に二通りありそうでおもしろかったが。
 
本質的なことではないが、登場人物の名前が珍しいもが多い。作者の生地、その後の境遇などがあるのだろうか。
短編集というとなにか共通点があるかとおもってしまうが、それは文学の本質とは関係なくて、より短い時間でしかけとか気分を手軽に味わいたいという読者の身勝手なのかもしれない。
 
訳は特に問題ないが、当時のイギリス事情を反映してわかりにくところの注があってもよかった。
 

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マンスフィールド短編集

2025-02-04 14:46:48 | 本と雑誌
マンスフィールド短編集
  安藤一郎 訳  新潮文庫
キャスリーン・マンスフィールド(1888-1923)というニュージーランド生まれのイギリス作家については文庫の案内目録にあったかなという程度の記憶しかなかった。このところチェーホフの作品をかなり読んでいて、解説かなにかにマンスフィールドの名前を目にし、ちょっと興味を持った。彼女はチェーホフの少し後の世代で、かなり影響をうけたらしい。

イギリス連邦圏の中上流というか比較的に恵まれた人たちの世界、女性の眼でみた世界が、少し象徴的な描き方、それが場面によってはこちらにはよくわからないところもあるのだが。

冒頭の「園遊会」、園遊会の準備(このあたり同時代の「ダロウェイ夫人」(ウルフ)を思わせりる)そのごたごたとその裏で起きた違う階級の悲劇、それに対処した主人公の少女のしたことがどうだったのか、それをストーリーとしてどうおさめたか、そこはうまい。

しかし多くの作品はぼやっとしていて短編としてまとまりに欠け、完成度が今一つ。チェーホフは結論めいたことは書いてない場合でも、それまでの描写で読者にもっと何かを想像させた。「鳩氏と鳩婦人」はちょっと面白いが。

もう一つの問題は翻訳である。それも作者の文体を考慮などということ以前、訳出した時代の日本語としてもおかしいし、やりとりで話者はどっち、動作はどっちが日本語でわかりにくい。そはか原文は正確に理解しているのかもしれないが、日本語としては未熟、はっきり言うと下手である。前にぼやっとしていてと書いたのは、このせいかもしれない。
 
これは昭和32年の発行、新訳はあるのかもしれないが、入手しやすい新潮文庫でなんとかならないか。

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絵本読み聞かせ(2025年1月)

2025-01-30 14:55:03 | 本と雑誌
絵本読み聞かせ 2025年1月

年少
ぎゅぎゅぎゅー(駒形克己)
わたしの(三浦太郎)
ぶーぶーぶー(こかぜさち 文 わきさかかつじ 絵)
年中
でんしゃでいこう(間瀬なおかた)
いらっしゃい(せな けいこ)
もりのおふろ(西村敏雄)
年長
ゆきがふる(蜂飼耳 文 牧野千穂 絵)
でんしゃでいこう
もりのおふろ

ほぼ昨年と同じプログラム
年少では色とたべもののひきつけが、各人で違うが関心を持ってくれた。
でんしゃでいこう、年中もよくみてくれたが、年長はこれが反対方向にも読めることを知っている子が何人かいたので、はじめてだったが普通は到着駅の海辺の駅(季節は春)から山の中の雪のシーンへ、その駅へとやってみたが、どうも気分がでない、こどもたちもやっぱりいつもの順、流れがいいね、となった。これで納得。
 
もりのおふろはヘタウマ風というか、アイデアの勝ちというか、いつもうけるのは不思議。
ゆきがふる、今回は落ち着いて、じっくり受け取ってくれたようだ、絵のすばらしさも。


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チェーホフ「かわいい女・犬を連れた奥さん」

2025-01-17 17:04:00 | 本と雑誌
チェーホフ: かわいい女・犬を連れた奥さん
    小笠原豊樹 訳  新潮文庫
このところチェーホフを集中的に読んでいて、多くは再読なのだが、ここらで代表作をというわけになった。七篇入っていていずれも晩年の作であるようで、「中二階のある家」も入っている。

どれも男と女の、なかなか思うようにいかない成り行きなのだが、死という不幸はあるにしても決定的に自滅してしまうところはない。
これは「反抗」という観点からシェストフやカミュとともに論じられるところかと思う。
 
「犬を連れた奥さん」はなんとも怖い話だと今回読んでおもったが。
「谷間」はかなり社会の底辺を描き、「いいなずけ」は典型的な二つのタイプの男性のあいだでどうにかなりそうなのだが、そこをドラマとして無理しないところである意味優れた作品になっている。
 
このなかでは「中二階のある家」がいい。主人公の画家を姉妹一家とのかかかわり、姉は辟易すてしまうの啓蒙主義者で、妹は極端なところはなく性格はよさそうだがまだ幼い。彼女を忘れられない、しかしどうにも出来なかった、よくあることだが。
中二階という表現が彼女の、彼女に対する想いの象徴なのだろうか。

訳は小笠原豊樹、なかなかいいと思ったらこの人岩田宏の名前で私はあまり読んだ記憶はないが有名な現代詩人でもあった。

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