ヴェルディ:歌劇「マクベス」
指揮:ジェイムズ・レヴァイン、演出:エイドリアン・ノーブル
ジェリコ・ルチッチ(マクベス)、マリア・グレギーナ(マクベス夫人)、ジョン・レリエ(バンクォー)、ディミトリ―・ピタス(マクダフ)
2008年1月12日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場、 2012年8月WOWOW放送録画
シェイクスピアが人間のどうしようもない悪と弱さをえがいたこの手の作品はどうも苦手で、一度読んだのち、再び味わいたいとは思わない。この「マクベス」とか「オテロ」とか。
ヴェルディのマクベスは録音で聴いているけれど、見るのは初めてだと思う。音楽が入っているからか、それもヴェルディだからか、戯曲よりはましかもしれない。
夢にうなされ、幻想を見、森が動いて、、、という筋はオペラならなんとかなるのだろう。その瞬間というか短い時間に集中できるともいえる。
この話をはじめてしまうのはマクベス夫人の王妃になりたいという野望だが、夫をそそのかし叱咤していく流れで、マリア・グレギーナは説得力ある演技を見せる。ジェリコ・ルチッチのマクベスもまずまず。
演出は服装など現代に置き換えているけれど、最後にマクベスが反逆されるところで、ここでピストルというのは死への流れとして違和感がある。特に音楽というものとの相性で。
こういう苦手の話を最後まで聴かせてくれたのはやはりジェイムズ・レヴァインの指揮、この人は違う。今年あたりは腰の治療で休んでいるようで、いずれ復帰してほしいが、それまでこの録画シリーズを楽しむほかない。