「エル・カンタンテ」(EL CANTANTE 、2006米、114分)
監督:レオン・イチャソ
マーク・アンソニー、ジェニファー・ロペス
(現在劇場公開中)
ジェニファー・ロペスが製作陣の一人になっているように、これは彼女がプエルトリコ出身のサルサ歌手エクトル・ラヴォー(1946-1993)の生涯を、彼女の夫で人気も実力もあるサルサ・シンガーのマーク・アンソニーに演じさせた映画であるが、その思いが強すぎたか、映画としては手ごたえに欠けるものとなってしまった。
ジェニファー・ロペスが演じるエクトルの妻が彼の死後にインタビューを受ける場面が切れ切れに挿入され、エクトルがプエルトリコからニューヨークに出てきて、成功し結婚、子どもも出来るが、その後は薬の常用となり、妻の闘いが続く。
サルサの世界はよく知らないが、ここでこのように言われる大スターの半生が薬との付き合い、闘いでほとんどという筋立てでは、見ている方は飽きてくる。
終盤、故郷に帰って、大コンサートが中止になりかけたときに彼の一存で強行していったところあたりから、もしやの盛り上がりを期待したのだが。
歌の部分はもちろんマーク・アンソニー自身。サルサとしてどうなのかはよくわからないが、素直に聴いていて気持ちがいいしうまい。
最後に出てきた写真はエクトルと妻のプチ本人たちだろうが、スリムな彼よりだいぶ太い。妻の方はジェニファーに似ていた。
映画としてはいまひとつであるけれども、サルサの魅力を教えてくれたのはありがたく、エクトルも一時属していたファニア・オールスターズのアルバムやこの映画のサウンド・トラックを聴いてみたい。