桐島、部活やめるってよ(2012年、103分)
監督:吉田大八、原作:朝井リョウ
神木隆之介、大後寿々花、橋本愛、東出昌大
原作(読んでいない)もこの映画もたいへん評判になり、賞もとっていて、映画館では見損ねた。ようやく見たわけだが、ちょっと肩すかしという感じだ。
ある県立高校の2年生から3年生になるあたり、つまり大学入試など進路を決める時期であり、部活も下の学年にリーダーシップを渡していく段階である。
ここでは、バスケット、バレー、バドミントン、野球どの運動部と吹奏楽部、映画部などの文化部の子たちが描かれる。
その中で、運動部ではキーマンらしい「桐島」が部活をやめるという情報が駆けめぐり、皆に動揺がはしるとともに、自分はどうするんだという問いがつきつけられる。
最後まで「桐島」は姿を見せず、それぞれの話も、かならずしも結末が見えるわけではない。
ただ一つ、なかなか皆に協力してもらえず苦労していた映画部の新作の製作がようやく進みだす。それがまたゾンビというかドラキュラというか、そういう系統の(この分野に詳しくないので)もので、誰かがラジオでいっていたが、相当な映画オタクが作った映画ということは確かなようだ。この映画自体が、この映画部がつくったもの、という劇中劇スタイルとみてもいいかもしれない。そこまでいうのは極端か?
そういえば監督の吉田大八は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (2007)」を撮っていて、つながるところは感じる。
かなり不消化の感がのこるこれど、観終わっていやな感じがしないのは、登場するすべての子たちが、この状況の中で最後は「自分は本音として何がしたいんだろう、桐島はどうあれ」と自身に向かい始め、自分の足で少しづつ動き出すからだろうか。そしてそれが作り手の大声での主張になってないのがいい。
キャストで私が知っているのは神木隆之介、橋本愛くらいで、特に後者はこの後ずいぶん起用され評判にもなった。ただここでは見栄えは明らかだがそんなにキーになる役ではなく、むしろ吹奏楽部でサックスを吹いている大後寿々花に存在感がある。