「M:i:Ⅲ」 (Mission: Impossible Ⅲ、2006米、126分)
監督:J・J・エイブラムス、原作:ブルース・ゲラー、脚本:J・J・エイブラムス他
トム・クルーズ、フィリップ・シーモア・ホフマン、ヴィング・レイムス、マギー・Q、ジョナサン・リス=マイヤーズ、ミシェル・モナハン、ローレンス・フィッシュバーン、ビリー・クラダップ
ミッション・インポッシブル、つまりTVの「スパイ大作戦」映画版、この第1作は見たと思う(でも筋は覚えていない)が、Ⅱは多分見ていない。
トム・クルーズが製作をリードしたようで、彼を中心にした娯楽作品である。
最初に、今は結婚した主人公イーサン(トム・クルーズ)が捕らえられ、やはり捕らえられている妻を殺すとディヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)に脅されあるもののありかを強要される。そして話はその発端に戻って、再びその場面になるという構成をとっている。
見るものにそうなることがわかっていて話を進めるのは、結果としてあと30分のところで再びここになるのだが、よほど見せ場を作ってないとつまらないものになる。
そこはトムがTV界から引っ張ってきたJ・J・エイブラムスの腕なのだろうか、場面展開がスムーズで退屈させない。ひところのトニー・スコットをもっとさらっとさせた感じである。
一つ一つの場面の仕掛けは、半分おとぎ話と思っているから見ていられるということもあるが、電子、情報の技術でいずれは可能かもしれないと、瞬間に判断することは楽しいといえば楽しい。今回は特に、人体に埋め込まれるプロセッサーとグーグル・アース、そして人の特徴(形状、話し方など)を短時間に処理して模倣する技術、そういうものに焦点があてられている。
とはいえ、娯楽性はそこまでで、ドラマとしての面白さというところまではいってない。裏切りは当然あるものの、その意外性も、意外性の面白さだけにとどまっている。
フィリップ・シーモア・ホフマンを悪役の長に持ってきたのは、このあたりを考えてのアクセントだろう。ただこれは監督の編集のせいだろうか、そんなにあくは強くない。
他では、ローレンス・フィッシュバーンはこういう役が定番、妻のミシェル・モナハン、チーム同僚のマギー・Qなど女優の配役もいい。
お金を払って2時間楽しむのに、ほとんど文句はない。