夜明け前、迎えに行くと珍しくM氏の家の前にハケゴがない。出てくる気配も無い。何かあったかな?
失礼とは思いながらも携帯に電話を入れる。
間もなく、ドアが開きM氏が出てくる。
「ごめん。忘れっだわげでねえんだけどよう・・・。」
昨日、確認の電話を入れなかったのが、まずかったようだ。
「いや、こっちこそ。で、どうする?」
「今日は、いいはあ。」
「んだが。んだら、また後で日にち決め直すベ。」
「わりいなあ。」
こんなやりとりの後で出発。単独行だ。まあ、たまにはこんなこともあるでしょう。気持ちを切り替えて、キノコ山に向かう。最大の目的は、前回見置きしてきたナメコである。
車止めに到着。先行者なし。多分、この周辺数㎞にわたって存在する人間は、私だけだろう。この状況を「怖い」と言う仲間もいれば、「楽しい」と言う仲間もいる。私は後者だ。何てったって、自然の独り占めだぜ。しかも、なんの気兼ねもなく新しい採り場探しが出来るんだから。
そうは言っても、本日は、目的地がピンポイントで決まっているので、そんなに彷徨することはない。せいぜい、季節の進み具合を楽しむぐらいだろう。スズメバチ対策のスプレーと熊鈴とナタを準備して歩き出す。
錦秋と言って良いでしょう
ブナ林は黄色く染まる
これまで暗かった森の中が、パアッと明るくなった感じ。この踏跡を辿っているだけで、来た甲斐があったと満足してしまう。
途中の倒木にも
出始めていますね
いよいよ、ナメコシーズンに入った感じ。そして、めざす倒木は、
出てますよ!でも・・・
なんだ?ナメコがサワモダシに入れ替わってる?
あっちにもこっちにもサワモダシ
これはこれで非常に嬉しいんですけど、前回見置きしたナメコはどうなっちゃったの?よく見ると、ナメコも出てます。
画像の左側はナメコ
確かにナメコだけど
根元に、一度採られた痕跡が残ってますね。ということは、前回、我々が見置きしていった直後に入り、大きめのツブだけを採っていった人がいるというわけだ。それから3日程過ぎて入ってみたら、採り残した小ツブがここまで育っていたということね。残っていただけでも御の字。戴きます。
しかし、驚くべきなのはサワモダシ。4日前に何の気配も無かったのに、これだけ発生するものなのか。
こちらの群落なんか盛期を過ぎつつある
前回、手遅れになってしまったことを悔いたけれど、この成長の早さを考えると、なんだか、「遅れても仕方がない」と言う気がしてきますね。
それにしても、すごい量だ。「あ~あ、この感動をM氏と分かち合いたかったなあ。」
まずは、M氏の分を採りましょう。
それから、我が家で楽しむ分を戴いて帰ることにします。モダシ採りでは珍しく、リュックがずっしりと重たくなりました。もう十分です。途中、2、3カ所の新しい倒木を点検しながら戻りました。振り返ると、
見えるかな?
朝日連峰の主峰には雪が降り始めたようです。
いよいよ晩秋。秋と冬のせめぎ合いが始まりますね。
東斜面が明るくなってきました
雨上がりなので、殊の外爽やか!
この素晴らしい景色と、自然からの恵みを独り占めしてしまったことに、ちょっとだけ罪悪感を感じつつ、充足感に満たされながら山を下る。
山の神様、ありがとうございました。
M氏、お土産、届けるからね。この次こそ一緒に感動を味わいましょう。
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