「あした、見る」
起こそうとしたら、そう言ったそうだ。私が。
記憶にない。
そんな私にかまっていて、主人はジダンのPKを観損ねた。
それでなんとか起きて観戦したのだが
えー?なんでこんなことに???
いちばん大切なときにおかしなことになってしまう…。
それは誰にでもあることだけど、取り返しがつかないんだよね、大抵。
消えていく背中を見たときに
疲れが一気にどさーっと降って来たような気持ちになった。
あまりの後味の悪さに、
すっかり夜が明けてもなかなか寝付けなかった。
やっとウトウトし始めたころ、パソコンの起動音を聞いた。
落胆している主人。眠れないのだろう。
でも、今は身体が疲れているんだから、少し寝たほうがいいよ。
仮眠後、
主人は流行るかもなどと言いながら、
私に頭突きをくらわすほどに元気を取り戻し、
「次は高校野球だな。」
と言った。
主人に引退はない。たぶん。