散歩日記XX

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小さな旅(4)

2020-12-27 17:47:19 | 美術・アート
ほぼ円滑に小樽到着。雪も大雪というほどではないからな。

今日は駅前からまっすぐ、市立小樽美術館へ。

■市立小樽美術館「一原有徳と版画の70年代」。一原以外の版画があったのは収穫だ。
棟方志功「風景」:珍しく油彩の風景画。
斎藤清「港風景」:高台から港を見下ろす風景が善策チックだなと思ったら、彼は小樽の看板屋で働いていたことがあるようだ。
斎藤清「只見川・会津柳津・上藤」:只見川を空白で表現している所がいい。

沢田哲郎「UNTITLED 76」「SKY SCAPE(DAWNING)」:作者得意の水平方向の線が目立つ版画だが、海を描いたと言えなくもないな。
一原有徳「LEZ(b)」:パイプ状の線を縦横無尽に引いた作品だが、これはその線が少しづつカーブしていて、また面白い。
一原有徳「KKI」:電気ブラシで空を覆う影を描いたのか。世界の滅亡感が強い。
一原有徳「SON(c6)」:地震で揺らぐ建物のようだ。

一原が自作について、決して風景をイメージしていたわけではないと言ったのは知っているが、そう見えちゃうんだよなあ。

■市立小樽美術館「北海道に渡った九谷焼 北前船の華 小樽・後志編」。
寿都・個人「松に馬人物図輪花鉢」:文様がびっしり描かれており、豪華である。
寿都・個人「草に雀図鉢(大)」:こちらはグレー地で落ち着いた作品。
岩内町郷土館「松枝に立ち鶴日の出図隅切角皿」:円形皿が多いのだが、角皿もなかなかいい。

鰊御殿とまり「松枝に立ち鶴日の出図変形向付」:皿の縁が変形カットされており、技巧的。珍しいものかと思ったら、定型で多くあるみたいだ。
積丹運上屋旅館「牡丹唐草文蓋付三段重」:全体に緑色に塗られた豪華な重。
旧余市福原漁場「松下武士図蓋付徳利」:蓋にも細かい文様が入っており、なかなかのいいもの。

旧余市福原漁場「菊に鳥図馬上盃」:季節感もあって内側に漢詩が書かれた素敵な盃。こういうのは欲しい。
旧下ヨイチ運上家「梅に月図皿」:これは繊細な絵付けだ。
円吉山別墅「梅氷裂図六角火入」:1824年から7年間だけあった吉田屋窯で作られたらしいが、すごくモダン。

もったいない博物館「雪に家屋図輪花皿」:雪の風景は北海道らしくていい。
もったいない博物館「菊鳳凰図輪花盃」:内側を12に区分して様々な絵付けをしているが、決して下品になっていない。
もったいない博物館「春画盃」:盃の底にレンズのようなものがあり、春画が拡大されるという遊び作品もあった。

まあ、食器なんか何でもいいじゃない派の人もいると思うが、当時の人は北海道にいても良い品物を買い求め大切に使ったのであろう。そういう人々の想いと、小樽・後志地方の底力が感じられる展覧会であった。



この後、スパークリングワインを購入し、高速バスで帰宅。今日は小樽で飲食はせず、大人しく帰る日なのであった。
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小さな旅(3)

2020-12-27 14:25:23 | 食べ歩き
さて、ここから小樽に移動するのだが、どうしたらよいだろうか。一度、JRの駅に行ってみたが、10人くらいは待ち客が居て、ちょっと嫌だな。となると、少し発車時間は早いが、到着は同じくらいになる高速バスニセコ号で戻ることにしよう。

となると、あそこに立ち寄るか。ということで、倶知安十字街に戻り、角にある菓子店「B」菓子舗へ。



まずは一番の名物らしい「倶知安いも」というのを手に取り、店の方に「一番良く出るのはどれでしょうか?」と聞いてみた。すると、結構今風の菓子を出してきたので、「いや、そういうのでなくて、昔からあるやつで」というと、登宇喜知万頭というのがそうらしいので、これも購入。



倶知安いもは何となく、北海道の超有名銘菓「WKSいも」を彷彿とさせる感じもあったが、登宇喜知万頭は抹茶餡に栗が入っているという、見た感じからは想像できない、ちょっと洗練された味だった。私のお勧め「登宇喜知万頭」をよろしく(写真中央の白くて丸い奴ね)。

雪が降り続く中、バス停で待ったが、ほぼ時間通りにバスが来て一安心。



乗り込んだのも5人くらいだったので、JRよりバスで良かったかなと思う(本当は鉄道を応援したいのだが…)。



バスに乗ってしばらくすると、何か事故があったのか、乗用車がレッカーされるところであった。うわっと思ったが、幸い待ちは5分ほどで、ほぼ予定通りに小樽に向かうことになった。
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小さな旅(2)

2020-12-27 13:22:08 | 食べ歩き
倶知安駅方面に戻ってきたが、今日は日曜日とあって開いていない店も多い。少し繁華街を回った後に、何度か来たことのある蕎麦屋「KM」に入ることにした。時間は13時だったが、先客なし。もう年末年始は外出しないんですかね?

店に入った所にあるカウンターでまずは注文。今日は寒いので、普段食べないような天とじ蕎麦にした。うーん、冬季のみのなべやきうどんも気になる。後から来た客が頼んだ、天ぷらラーメンも気になる…。





少しして天とじ蕎麦が到着。蕎麦は相当柔らかいし、天ぷらの海老も小さめ。そこを大量の天ぷらの衣、とじ玉子(いい状態だ)、香りのいい海苔がアシストし、これはこれでこういう食べ物なんじゃないか、と思わせる味になっていた。



何年かに一度、ここに来たら食べたくなるな。

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小さな旅(1)

2020-12-27 12:45:08 | 美術・アート
市立小樽美術館の展覧会が今日までなので、見に行くことにした。しかしながら、小樽だけではちとつまらない。合わせてあそこにも行こうということで、バスに乗り込む。バス停到着が時間ギリギリになってしまい、飲み物を買う余裕が無かった。2時間以上バスに乗るのに、しまったなあ。

ということで、ウトウトしながら(私、バスの中では本が読めないのだ)移動して、ついたのは倶知安である。いやー、積雪の次元が違うね。



倶知安十字街から歩いて小川原脩記念美術館へ。



これで開いていなかったら死んでしまうかと思うところだが、幸い美術館は開いていた。まずは第1展示室から。

■小川原脩記念美術館「第62回 麓彩会展」。上手い人多し。
小島英一「B.M.WOMAN」:ピンク色主体のなかなか迫力のある女性像。
嶋貫由紀子「アドリア海」:童話調の男女が船の上で向かい合う、素朴な味わいの作品。
徳丸晋「minamo20151016_143619」:写真をスエードの上に染めてあるので、肌合いが違う感じ。おそらく紅葉が映えた水面なのだが、どことなく地獄の炎のようにも見える。

福田好孝「他所者たちシリーズ「送る・2020」」:紫色で骸骨たちの巡礼を描いた作品。かなり緻密な感じの筆である。
宮崎睦「庭からの響き」:蛍か、または秋の虫の音を視覚化したような作品。

続いて、第2展示室へ。

■同「世界へ向かう シュルレアリスムと美術」。正直、こちらを見るために来たのだが、ほぼ見たことのある作品ばかりであった。やっぱり小川原の戦前の作品はあまり残っていないのだろうなあ。

「闘牛」:これはピカソっぽいね。
「貴婦人たち」:女性と植物をミックスしたようなペン画作品。
「動ク植物」「時間の記録」:これは諸星大二郎展でも参考図面が出ていたので気がついたが、ダリ「茹でた隠元豆のある柔らかい構造」の影響をもろに受けているな。

「無題」:画の中に描かれたキャンバスには穴が開いており、どことなく顔のようにも見える。その後ろには棒とリボンが配置されている。鉛筆画だが、これは初めて見たと思う。
「フォーク」:フォークといっても食事用ではなく、農作業用のフォークである。植物や人の手のイメージが配置されており、これもダリを思わせるところがある。
「穴居時代」:赤い山に何となく人々が佇んでいる感じ。

「農民達」:シュールレアリスム画は当時の政府(軍?)から弾圧を受けたので、1942年にはブリューゲルを思わせる古典主義に回帰した模様。今の時代からこれを責めることは、簡単には出来ない。何よりも戦後に小川原が倶知安に戻り、中央画壇との関係を持たなかったのは、自らを責める思いがあったのだろう。

最初は「これも見たことあるな~」という気持ちが沸き上がってきたが、何しろ80年近く前の作品ばかりなのだ。当時の小川原の思いを少しでも感じると、あだや疎かには見られない展覧会であった。



今日は雪のせいもあり、現時点で観覧者は私一人である。人が多いと無理なのだそうだが、一人しかいないのでコーヒーをごちそうして頂いた。静かで明るい館内でコーヒーをゆっくりと飲んだ。





美術館を出ると、目の前に小さなバスがいた。「これはもしやコミュニティバス?」と思った瞬間発進してしまい、やむなく歩いて倶知安駅方面へ。今しらべてみると、じゃがりん号というコミュニティバスなんだなあ。但し、かなりあちこち経由するため、駅までは27分かかるらしい。「それなら歩いても変わらんな!」と強がる私だったが、結構な雪が降っているため辛いのであった。



駅前通りがこんな状態なんだよね。

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