たぶん今年は"ぶた"年と呼んでもらっても差しつかえない。タガが外れたように美味しい正月を満喫している。きっと戻れると信じて、行方も知らぬデブへの道を進んでいる。
お隣のシェフ謹製のヴィネグレットソースをシェアしていただいて、鯛の造りに合わせてみた。鯛のカルパッチョである。シェフんちのブログにある通り、「ヴィアンフェ風ドレッシング」を頒布してもらう機会があった。その時から、寝かせて味に深みと円やかさを出す時間を充分に経ている。したがって、今が一番食べごろなのである。いわゆるベースソースとして、トマトやパセリ、EXバージンオリーブオイルを追加することで、単なるコールドサラダ用ドレッシングに終わることなく幅広い献立に応用が利く、利く。それにしても、尖がった酸っぱさが消えたこのソースの美味しさは何に例えたらよいだろう。箸をおく暇がないほどである。ぼくの口中にひろがる余韻を共有する人々がこの町に少なからず居るという想像は楽しい。匂いはぼくからだけじゃない、同じ口臭のひとが他にも居るんだよ。ほんのエクスキューズ?
さて、昨年末に取材を職業とするA嬢から、知る人ぞ知る隠れ家のような喫茶店を勧められ、自転車漕ぎのついでに立ち寄らせてもらっている。
「コンドルは飛んで行く」
というお店なのだが、アンティークなインテリアと小物がユニークなカントリー風が心地よい。さらに、ぼくがストレートと呼ぶエスプレッソ珈琲(300円、お代わりは150円)が実にウマくて、病みつきになる。窓からは志摩のごく自然な風景が広がるが、時間によって表情を変える雑木林を眺めているだけでも癒される。ただし、一服したらおしまいというセッカチな御仁には不向きである。当ったり前の景色から心象画を描き出すぐらいのゆとりと心意気を携えて訪れたい。
kiyoさんの東京土産、西光亭(せいこうてい)のくるみのクッキーである。白いお粉に包まれ白粉のようだが、手作り、しかも人口保存料・着色料・香料の類は一切使用していないナチュラルなお菓子だ。クッキー好きのぼくにはたまらない。後を引く美味しさで、もっと欲しいとオネダリだ。
もっと慎み深い男だったはずなのだが…。ブーにひたすら傾いている。