滋賀県 建築家 / 建築設計事務所イデアルの小さな独り言

建築家・清水精二のブログ、何でもあり独り言集・・・。

人間国宝・清水卯一作品展はじまる

2008年04月13日 | アート・文化
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昨日から滋賀県立近代美術館で「鉄の釉薬を究めた陶芸家-人間国宝・清水卯一作品展」が開催されています。今日はさっそく、その企画展を観に行って来ました・・・。

京都に生まれ育った清水卯一さんは、1970年(昭和45年)窯を持つという若い頃からの夢を叶えて滋賀県の比良山麓に蓬莱窯を開きました。以来、湖国では2004年2月に77歳で亡くなるまで34年間の作陶生活を過ごしました。蓬莱の地で数え切れないほどの釉薬、陶土、磁土を発見、研究し、膨大な種類と数量の作品を制作しては個展や日本伝統工芸展で発表し続けました。
これら真摯なまでの研鑽の積み重ねが、1985年(昭和60年)に認定された「鉄釉陶器」技法による国の重要無形文化財(人間国宝)として結実したのです。

今回の企画展は、卯一さんの数多い「鉄釉陶器」の中から、「柿釉」、「青瓷」、「黄蓬莱」、「蓬莱磁」、「淡青釉」、「鉄耀」、「掛け分け」、「赤土彩」など8種類の代表的な釉薬を取り上げ、項目別にテーマ展示となっています。これによって、卯一さんが長年にわたり研究、調合した釉薬や陶土が見渡せ、多くの作品からは、フォルムが多種多様で釉薬の色や状態も変化に富んでいて、バラエティー豊かであることがわかります。

ちなみに、私の親父の陶器コレクションにも清水卯一さんの作品が3つあります・・。下の画像は、その中で私がいちばん気に入っている「蓬莱耀の盃」です。蓬莱耀は、1975年(昭和50年)頃に卯一さんが蓬莱の地で見つけた真っ黒な石から開発した釉薬て゜、何度かの失敗の後、孔雀の羽のような光彩が一面に入った輝く文様が現れました。今までの油滴天目と比べると、銀色の結晶の斑文が一つ一つドーナツ状になっていて、その輝きも変化に富んでいて深みがあります。同じ釉薬を使っても、焼き方によっては真っ黒であったり、銀色の斑文が現れたりするそうで、輝く鉄釉薬という意味から「鉄耀」、「蓬莱耀」と名付けられました。

卯一さんが普通の作家にとどまらなかった凄さは、優れた創作力を充分に発揮した事はもちろんですが、同時に焼き物職人としての基礎知識や技術を備えた上で、さらに執念とも思えるほどの探求心を持って研鑽を積み上げたところにあります・・。
こういう企画展に触れて、いつも思うことですが、私の建築にたいする姿勢に襟を正さずにはいられません・・・。

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